サムスンバイオロジクス、GSKから米国の生産施設を2.8億ドルで買収へ 北米市場の足場固める
サムスンバイオロジクスがGSKから米国の医薬品生産施設を2.8億ドルで買収。世界最大の北米市場でのCDMO事業を強化し、グローバルな供給能力を拡大する戦略的な動きを解説します。
ロイター通信によると、韓国のサムスンバイオロジクスは2025年12月22日、英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)から米国内の医薬品生産施設を2億8000万ドル(約390億円)で買収すると発表しました。この買収は、世界最大の医薬品市場である北米での生産能力を強化する戦略的な一手とみられます。
今回の買収対象となる施設は、バイオ医薬品の製造において重要な役割を担うものです。サムスンバイオロジクスは、医薬品開発・製造受託機関(CDMO)として世界トップクラスの地位を確立しており、この買収によって既存および新規のグローバル顧客に対するサービス提供能力がさらに向上することが期待されます。
会社側は、この取引が北米市場でのプレゼンスを大幅に拡大し、より迅速な医薬品供給を可能にするための重要なステップであると説明しています。新設ではなく既存の施設を買収することで、生産開始までの時間を大幅に短縮し、急増するバイオ医薬品の需要に迅速に対応する狙いがあるようです。
PRISM Insight今回の買収は、世界のCDMO業界における「規模の経済」を追求する大きなトレンドを象徴しています。大手製薬会社(ビッグファーマ)が自社の製造施設を売却し、研究開発に集中する一方、サムスンのような大手CDMOがその資産を吸収して生産能力を迅速に拡大する動きが加速しています。これは、グローバルな医薬品サプライチェーンが、より専門化・効率化された分業体制へと再編されていることを示唆しています。
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