かつての宇宙王者はどこへ?ロケットダイン「RS-68」エンジン退役が告げる時代の終焉
米宇宙開発の象徴、ロケットダインの歴史と衰退をChief Editorが分析。サターンVやスペースシャトルを支えた名門が、なぜ2024年のRS-68退役を最後に存在感を失ったのか。伝統的企業とニュースペースの対比から、今後の宇宙産業の行方を探ります。
宇宙開発の歴史を語る上で、この名前を外すことはできません。ロケットダインは、かつて米国の大型液体燃料ロケットエンジンの大半を製造し、宇宙開発の「心臓部」を独占していました。しかし、億万長者たちが率いる「ニュースペース」企業の台頭により、その勢力図は今、劇的な変化を迎えています。
ロケットダイン エンジン 2024年退役が象徴する「黄金時代」の終わり
半世紀前、米国の宇宙進出はロケットダインの技術なしには語れませんでした。人類を月へと運んだサターンVロケットをはじめ、スペースシャトル、アトラス、デルタといった主要なロケットのすべてに、同社のエンジンが搭載されていたのです。さらには米軍の初期の弾道ミサイル開発においても、同社は中心的な役割を果たしていました。
しかし、冷戦の終結とともにその支配力には陰りが見え始めました。1955年にノースアメリカン・アビエーションの部門として産声を上げたロケットダインは、ロックウェル・インターナショナルを経て、1996年にはボーイングの航空宇宙部門に買収されるなど、組織の再編に翻弄されてきました。
新規開発の停滞と新勢力の台頭
驚くべき事実は、1950年代から1980年代にかけて次々と新しい大型エンジンを生み出してきた同社が、それ以降、ゼロから開発して実用化にこぎつけたのは「RS-68」というわずか1つのモデルのみだったという点です。その最後の希望とも言えるRS-68も、2024年に運用を終了しました。
民間資本とベンチャー企業が主導する現代の宇宙産業において、かつての巨大企業がどのように適応していくのか。それとも、かつて月を目指した情熱は新しい世代へと完全に引き継がれたのか。ロケットダインの物語は、伝統的な防衛産業が直面している課題を鮮明に映し出しています。
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