マイナス19度のキーウを救う「ウクライナの不屈列車」 4度目の冬、凍える市民の拠点に
マイナス19度の極寒に耐えるキーウで、「ウクライナの不屈列車」が市民の生命線となっています。ロシアのインフラ攻撃により深刻な停電が続く中、暖房と電力を提供する列車の実態と、4度目の冬を過ごす市民の声をChief Editorが詳しく伝えます。
外気はマイナス19度。雪が降り積もるキーウの駅に、どこへも出発しない列車が停まっています。青と白の車体にディーゼルエンジンを響かせるこの列車は、ロシアの攻撃で電気も水も失った市民たちの命をつなぐ「不屈列車(Invincibility Trains)」です。寒さが限界に達するなか、この場所がキーウの人々の最後の拠り所となっています。
ウクライナの不屈列車が守る極寒の生活
車内では、幼い息子を連れたアリナさんが、国際慈善団体から提供されたおもちゃで遊ぶ子供を見守っています。彼女が住むマンションは17階ですが、電力不足でエレベーターは動かず、水も暖房もありません。「外はあまりに寒い」と彼女は語ります。数年前のバフムト近郊での戦闘で父親を亡くした彼女にとって、この列車は寒さだけでなく、連夜続く空爆の恐怖から一時的に解放される貴重なシェルターでもあります。
破壊されたエネルギーインフラと深刻な停電
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが意図的に冬の寒さを利用し、発電所やエネルギー貯蔵施設などの重要インフラを標的にしていると非難しています。クリチコ市長によると、2026年1月現在の停電状況は過去最悪レベルに達しており、市内だけで500棟以上の住宅が電気を失ったままです。一部の市民はガスコンロでレンガを熱して暖をとるという、限界に近い生活を強いられています。
エンジニアたちは不眠不休で修理を続けていますが、氷点下での作業は困難を極めます。キーウ電力網の担当者は、現在の設備が限界値で稼働しており、完全な復旧には「数年単位の時間が必要だ」と認めています。一時的な修理を繰り返す「非常モード」での運用が続いています。
4度目の冬を耐えるキーウ市民の肖像
ロシアによるフルスケール侵攻が始まってから、キーウは今、4度目の冬を迎えています。列車でスマホを充電していた11歳のスタス君は、「戦争がなかった頃のことをもう思い出せない」と静かに語ります。彼は夜、ドローンの飛行音が聞こえるたびに恐怖で眠れない日々を過ごしていますが、それでも列車に集まる友人たちと笑い合い、前を向こうとしています。
BBCによれば、空襲警報が鳴り響けば、列車内の人々もシェルターへの避難を余儀なくされます。しかし、警報が解除されれば彼らはまたここに戻ってきます。冬が終わればエネルギー危機は和らぐかもしれませんが、終わりの見えない戦争そのものに対する不安が、キーウの街を包み込んでいます。
記者
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