パキスタンとアフガニスタン、全面戦争の瀬戸際へ
国境紛争から報復の連鎖へ。タリバン復権以来最大の危機が南アジアの安定を脅かす。日本外交への影響も
カブールの政府庁舎で、タリバンの高官が地図を指差しながら激昂していた。「パキスタンは我々の主権を侵害している」。一方、イスラマバードでは軍幹部が同じ地図を見つめ、「テロリストの聖域を放置できない」と語る。同じ国境線を挟んで、両国は全く異なる現実を見ている。
報復の連鎖が始まった
2021年8月のタリバン復権以来、両国関係は着実に悪化してきたが、ここ数週間の展開は質的に異なる段階に入った。散発的な国境衝突と相互非難が、組織的な報復攻撃へとエスカレートしている。
パキスタン側は、アフガニスタン領内からパキスタン・タリバン運動(TTP)が越境攻撃を仕掛けていると主張。これに対しカブールのタリバン政権は、パキスタン軍が民間人を標的にした越境爆撃を行っていると反発している。
問題の核心は、両国が異なる「テロリスト」の定義を持っていることだ。パキスタンにとってTTPは排除すべき脅威だが、アフガン・タリバンは彼らを「兄弟」と見なす。逆にアフガン・タリバンが「ムジャヒディン」と呼ぶ戦士たちを、パキスタンは「テロリスト」と断じる。
歴史的な皮肉
現在の対立には深い皮肉がある。アフガン・タリバンは、1990年代の台頭期から2001年の失脚まで、パキスタンの軍統合情報局(ISI)から支援を受けてきた。パキスタンはタリバンを「戦略的資産」として育成し、アフガニスタンでの影響力確保を図った。
しかし権力を握ったタリバンは、もはやパキスタンの「代理人」ではない。彼らは独立した政治主体として、パキスタンの要求を拒否している。特にTTPメンバーの引き渡し要求については、「ムスリム同胞を異教徒に渡すことはできない」として断固拒否している。
国際社会の複雑な立場
国際社会は複雑な立場に置かれている。パキスタンは核保有国であり、中国の「一帯一路」構想における重要なパートナーだ。一方アフガニスタンは国際的に孤立しているものの、地域の安定にとって無視できない存在だ。
日本にとって、この紛争は複数の懸念を生む。まず、パキスタンは日本の重要な開発援助パートナーであり、両国間には50年以上の協力関係がある。また中国がパキスタンへの影響力を強める中、地域バランスの変化は日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想にも影響する。
和平への道筋は見えるか
両国の対立激化は、地域全体の不安定化を招く恐れがある。インドはパキスタンの西側国境での混乱を注視し、イランや中国も巻き込まれるリスクがある。
外交的解決の可能性はまだ残されている。サウジアラビアやUAEなどの湾岸諸国が仲介役を買って出る可能性があり、中国も「一帯一路」の安定のため調停に動く可能性がある。
しかし時間は限られている。両国の軍事指導者は既に「赤線」を語り始めており、誤算や偶発的衝突が全面紛争の引き金となる危険性が高まっている。
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