韓国系IOC理事の誕生が示す「スポーツ外交」の新潮流
韓国のキム・ジェヨル氏がIOC理事会メンバーに選出。スケート界のトップが語る「恩返し」の理念と、アジア系スポーツ行政官の台頭が意味するもの。
30人。これは韓国系若手スポーツ行政官が2024年秋、スイス・ローザンヌで開いた夕食会の参加者数だ。5年前の2倍に増えたこの数字は、国際スポーツ界における韓国の影響力拡大を物語っている。
「恩返し」を誓う新IOC理事
2026年2月9日、ミラノで開催中の冬季オリンピック期間中、国際スケート連盟(ISU)会長のキム・ジェヨル氏(57)は韓国メディアとの会見で、IOC理事会メンバーへの選出について語った。韓国人としてはキム・ウンヨン元IOC副会長に続く2人目の快挙だ。
「個人的には大きな栄誉ですが、これは韓国の国際スポーツ界での地位向上を反映したもの」とキム氏は述べた。彼が強調したのは「恩返し」の理念だった。「私がここまで来られたのは、多くの先輩方の努力のおかげ。今度は私が若い人たちを支援する番です」
2018平昌から始まった躍進
キム氏の経歴は韓国スポーツ外交の発展史そのものだ。2011年から2016年まで韓国スケート連盟会長、2018年平昌冬季オリンピックでは国際関係担当副会長を務めた。2014年ソチ五輪では韓国選手団長として活動し、2022年からISU会長に就任している。
特に注目すべきは、平昌オリンピック組織委員会で経験を積んだ若手職員たちが、現在ローザンヌの国際機関で活躍していることだ。IOCをはじめとする国際スポーツ機関の本拠地であるローザンヌには、韓国系職員が急増している。
アジア系リーダーシップの時代
キム氏の選出は、より大きな潮流の一部でもある。現IOC会長のカースティ・コベントリー氏はジンバブエ出身で、オリンピックを「より親しみやすく、透明で、エンターテイニング」にする構想を持つ。アフリカ系女性として初のIOC会長である彼女との協力について、キム氏は期待を示した。
また、キム氏は故李健熙サムスングループ会長の義理の息子でもある。李氏は1996年にIOCメンバーに選出され、2017年に名誉メンバーとなった。韓国財界とスポーツ界の結びつきは、国際的な影響力拡大の重要な要素だった。
日本への示唆
韓国のスポーツ外交成功は、日本にとって重要な示唆を含んでいる。2020年東京オリンピックを開催した日本だが、国際スポーツ機関での影響力は必ずしも韓国ほど顕著ではない。トヨタやパナソニックなどの日本企業はオリンピックスポンサーとして貢献しているが、人的ネットワークの構築では韓国に後れを取っている面もある。
キム氏が語る「若い世代への投資」は、日本のスポーツ界にとっても課題だ。高齢化が進む日本で、国際舞台で活躍できる若手スポーツ行政官をどう育成するかは重要な問題となっている。
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