オーストラリア 憎悪犯罪 対策法案 2026:安全強化と表現の自由を巡る論争
2026年1月、オーストラリアのアルバニージー政権が発表した「憎悪犯罪対策法案2026」の全容。144ページに及ぶ法案が表現の自由や人権に与える影響、そして拙速な立法プロセスへの懸念を詳しく解説します。
わずか3日間で、民主主義の根幹に関わる重大な法案を精査できるでしょうか?アルバニージー政権は2026年1月13日、ボンダイでの悲劇的な攻撃への対応として、憎悪犯罪の防止と銃器規制の強化を目的とした新たな法案草案を公開しました。
オーストラリア 憎悪犯罪 対策法案 2026 の衝撃と拙速な議論
公開された草案は144ページに及び、刑法、移住規則、税関規制など多岐にわたる改正を含んでいます。これは、イスラム国(IS)の脅威に対応した2014年以来、最も重要な対テロ関連法の改正であるとされています。しかし、大きな問題となっているのはそのスケジュールです。公聴会への意見提出期限は本日1月15日の午後までとなっており、公衆に与えられた検討期間は3日未満しかありません。
人種差別扇動への罰則とヘイトグループの禁止
今回の法改正の柱は、人種的憎悪を扇動する行為に対する新たな連邦犯罪の創設です。人種的優越性のアイデアを普及させたり、憎悪を煽ったりした場合、最高で5年の禁固刑に処される可能性があります。ここで注目したいのは「合理的な人間テスト」です。実際に誰かが脅迫されたことを証明する必要はなく、対象となるコミュニティのメンバーが安全に不安を感じると客観的に判断されれば、罪が成立します。
また、憎悪犯罪に関与するグループを法的に禁止する仕組みも導入されます。指定されたヘイトグループのメンバーになったり支援したりすることは犯罪となり、活動を指揮した場合には最長で15年の禁固刑が科せられます。これを受けて、ネオナチ組織のナショナル・ソーシャリスト・ネットワーク(NSN)は解散を表明しましたが、その思想が根絶されるかは不透明です。
表現の自由と宗教的例外を巡る曖昧さ
一方で、専門家からは表現の自由を不当に制限するとの懸念も出ています。特に議論を呼んでいるのが、宗教的テキストを引用する場合の免除規定です。聖書やコーランを引用した際の保護は理解できますが、何が「宗教的テキスト」に該当するのかが明確ではありません。過激派のマニフェストやカルトの教典が悪用されるリスクを、現地の法学界は指摘しています。
ニューサウスウェールズ州法改革委員会は、憎悪という概念は不正確であり、「刑法の基準としては不適切」であると警告していました。それにもかかわらず、連邦政府は法案の成立を急いでいます。2001年の9.11テロ以降、100以上の対テロ法が成立し、その総ページ数は5,000ページを超えていますが、一度成立した法律が人権保護のために修正されたケースは極めて稀です。
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