成長市場インドに勝負。三菱ケミカルが2030年に向けた大規模投資を検討

三菱ケミカルグループがインドでのMMAプラスチック生産を検討中。2027年3月までに拠点を決定し、2030年の稼働を目指します。中国の過剰生産を背景とした戦略的シフトです。

14億人の巨大市場へ、日本の化学大手が本格的に動きます。日本経済新聞の報道によりますと、三菱ケミカルグループがインド国内で主力製品であるプラスチック原料の生産を検討していることが明らかになりました。

2030年の稼働を目指す新拠点

同社が生産を計画しているのは、自動車のランプや看板、液晶ディスプレイの保護パネルなどに使われるMMA（メチルメタクリレート）と呼ばれるアクリル樹脂原料です。インドの急速な経済発展に伴い、インフラや自動車向けの需要が急増していることが背景にあります。

具体的な生産拠点の選定については、2027年3月までに最終判断を下す方針です。順調に進めば、2030年にはインドでの現地生産が開始される見通しで、成長する南アジア市場の供給責任を果たす狙いがあります。

今回の投資検討の背景には、中国による過剰生産問題があります。安価な中国製品の流入により、既存の市場では利益の確保が難しくなっています。一方、インドは製造業の振興策を打ち出しており、外資企業の進出を歓迎する姿勢を見せています。

投資家への注意：大規模な設備投資は長期的な収益向上を期待させますが、インドの複雑な土地規制やインフラ整備状況、さらには原料調達のコスト変動が、プロジェクトの採算性に影響を与える可能性があります。