「聖戦」の空気の中で、反戦の声は今
米国・イスラエルとイランの戦争が始まって10日。イスラエル国内では93%がこの戦争を支持するという。その空気の中で、反戦を叫ぶ若者たちに何が起きているのか。
路上で唾を吐きかけられ、ネット上では憎悪のキャンペーンに晒される。それでも、19歳の反戦活動家イタマル・グリーンバーグは笑いながら言った。「怖いかって? 本当は怖いと思う。でも、考える暇がない」。
「アマレク」の言葉が再び
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランへの軍事攻撃を開始した。それから10日が経った今、イスラエル国内の空気は急速に変わりつつある。
イスラエル政府の公式発表によれば、イランの攻撃によって11人のイスラエル人が死亡した。しかし、イランのミサイルが実際にどれほど「鉄のドーム」防衛システムを突破したのか、真の被害規模はどのくらいなのか——厳しい報道規制のもとで、その全貌は明らかになっていない。
イランはイスラエル各地への攻撃を主張している。テルアビブ、ベングリオン国際空港、ハイファ、さらにはネタニヤフ首相の執務室への命中まで。一方でイスラエル側はこれらの多くを「フェイクニュース」と否定する。両者の主張の間で、事実は霧の中にある。
こうした状況の中、ネタニヤフ首相はイランのミサイル攻撃を受けた西エルサレムの現場に立ち、旧約聖書に登場するユダヤ人の宿敵「アマレク」になぞらえてイランを語った。「今週のトーラーの朗読箇所には、『アマレクがあなたにしたことを覚えよ』とある。我々は覚えている、そして行動する」。
この「アマレク」という言葉は、ガザでの戦争においてパレスチナ人を指して使われ、国際社会から激しい批判を受けたものだ。今、それが新たな対象に向けられている。
93%が支持する社会で
イスラエル民主主義研究所(IDI)が先週実施した世論調査によれば、ユダヤ系イスラエル人回答者の93%がイランへの攻撃を支持し、74%がネタニヤフ首相を支持している。歴史的に分断の象徴だったネタニヤフ首相への支持率が、これほど高い数字を示したことは異例だ。
政治アナリストのオリ・ゴールドバーグはテルアビブ近郊からこう語った。「あるニュース番組が反戦活動家を招いたのですが、まるで地球平面説を唱える人を扱うかのような態度でした。この戦争に反対するなんて、考えられないことのように」。
「イスラエルは中間地帯のない社会になってしまった。会話する能力を失った。まるで、自分たちの存在がすべてを自由にできる能力にかかっているかのように。そして世界がそれを止めようとすれば、世界は反ユダヤ主義だ、と。そうして皆が燃え尽きる」。
この空気の中で、左派政党ハダシュの議員オフェル・カシフは言う。「家を出るとき、ミサイルよりもファシストによる物理的な攻撃を心配している」。カシフ議員らは戦争への反対を表明したことで、「テヘランの政権を支持している」と非難される。「我々はイランの政権を支持していない。あの政権が終わることを望んでいる。しかし、ネタニヤフがイラン国民のためにこれをやっていると言うのは許せない。それは事実ではない」とカシフは断言する。
「聖戦」の論理と、その外側
グリーンバーグが参加した火曜日の抗議活動では、警察がすでに待ち構えていた。彼は逮捕され、違法な身体検査を受けたという。6ヶ月前のガザ抗議活動での逮捕時には、刑務所の看守から顔にダビデの星を刻んでやると脅されたと語る。
ガザ戦争においても反戦の声は少数派だったが、人質問題をめぐる政府批判は一定の社会的許容範囲内にあった。しかし今、イランという相手に対しては、その余地はほぼ消えている。
ここで注目すべき点がある。イスラエルとイランの関係は、1979年のイスラム革命以前は必ずしも敵対的ではなかった。カシフ議員が指摘するように、イスラエルも米国も、革命前のシャー(国王)政権を支持していた。歴史の複雑さは、戦時の単純な語りの中に消えていく。
日本にとってこの戦争は遠い出来事に見えるかもしれない。しかし中東の不安定化は原油価格に直結し、トヨタやソニーをはじめとする日本企業のサプライチェーンと生産コストに影響を与える。さらに、米国が中東に軍事的関与を深める中で、日米同盟の文脈における日本の立場も問われることになる。
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