ニシェル・ニコルズとキング牧師が『スタートレック』を変えた歴史的瞬間
『スタートレック』のウフーラ役ニシェル・ニコルズとキング牧師の秘話。降板を考えていた彼女を、なぜ公民権運動のリーダーが引き止めたのか?SFが描いた多様性と社会への影響力を探ります。
もし、ある一人のファンがいなければ、SFの歴史、そして公民権運動の歴史は今とは違うものになっていたかもしれません。1960年代の伝説的ドラマ『スタートレック』でウフーラ役を演じたニシェル・ニコルズは、実はシーズン1で番組を降板しようとしていました。しかし、彼女を引き止めたのは、他ならぬマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)だったのです。
ニシェル・ニコルズの決断を翻させたキング牧師の言葉
ミュージカルの舞台を志していたニコルズは、シーズン1を終えた際、ブロードウェイでのキャリアを求めて降板を決意し、制作のジーン・ロッデンベリーに伝えました。そんなある日、彼女はNAACP(全米黒人地位向上協会)の会合で、ある「ファン」と出会います。
そのファンこそがキング牧師でした。彼は、ニコルズが番組を辞めるつもりだと告げると、「そんなことはさせられません」と断言したと言います。キング牧師にとって、ウフーラという役は、単なるテレビの配役ではなく、黒人女性が人種や性別に縛られず、権威ある立場にいる姿を示す「平等」の象徴だったのです。
エンターテインメントが社会を動かす力
キング牧師の助言に従い続投したニコルズは、その後6本の映画にも出演し、多くのファンに勇気を与え続けました。特に、ウィリアム・シャトナー(カーク船長)とのキスシーンは、当時の保守的な地域で物議を醸しながらも、人種間の壁を取り払う鮮烈なイメージとして歴史に刻まれました。彼女の存在は、SFという枠を超えて現実の社会構造にも大きな影響を与えたのです。
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