トランプの「最大圧力」再び、イラン核交渉で軍事展開加速
米国がイラン核交渉と並行して中東への軍事資産を増強。トランプ政権の「最大圧力」戦略が再び始動する中、交渉の行方は?
12隻の軍艦と戦闘機群が中東に向かっている。米国は今月2度目となるイランとの間接核交渉を行う一方で、史上最大級の空母ジェラルド・R・フォードを含む軍事資産を同地域に急派している。
この一見矛盾する動きは、トランプ政権の「交渉しながら圧力をかける」戦略を象徴している。カロライン・レビット報道官は18日、「イランはトランプ大統領と取引するのが賢明だろう」と述べ、暗に軍事行動を示唆した。
交渉テーブルの下の軍事カード
現在中東にはエイブラハム・リンカーン空母を中心とする米軍艦艇13隻が展開中で、さらに増派が予定されている。F-22ラプターステルス戦闘機やF-15、F-16戦闘機、空中給油機KC-135も配備され、昨年6月のイラン核施設攻撃前と同規模の軍事態勢が整いつつある。
一方、スイスで行われた間接交渉では、イラン側が「指導原則で合意した」と発表したが、JD・バンス副大統領は「イランはまだ我々のレッドラインすべてに応えていない」と異なる見解を示した。この食い違いは、交渉の複雑さを物語っている。
トランプは2018年に核合意(JCPOA)から離脱し、「最大圧力」制裁を課してきた。今回の軍事展開は、その延長線上にある外交戦術と見られる。
イランの計算と日本への波及
イランのペゼシュキアン大統領は「戦争は望まないが、屈服もしない」と表明。ホルムズ海峡での軍事演習を実施し、対抗姿勢を鮮明にした。この海峡は世界の石油輸送量の約20%が通過する要衝で、封鎖されれば日本のエネルギー安全保障に直接影響する。
日本企業にとって、中東情勢の不安定化は二重の懸念材料だ。エネルギーコスト上昇による製造業への打撃と、円安進行による輸入負担増が重なる可能性がある。トヨタやソニーなど海外展開する企業は、サプライチェーンの見直しを迫られるかもしれない。
軍事外交の限界と可能性
興味深いのは、トランプがディエゴガルシア基地の使用に言及した点だ。この英領インド洋地域の戦略拠点から、イランまでは約3,000キロ。長距離爆撃が可能な距離にある。
しかし、軍事圧力による交渉は諸刃の剣でもある。過度な圧力はイランの核開発を加速させるリスクがあり、地域全体の不安定化を招く恐れもある。イランの最高指導者ハメネイ師が「新たな攻撃は地域全体の拡大につながる」と警告したのも、このためだ。
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