自由の約束と640人の拘束:バングラデシュ報道の自由 2025年の現実
2025年、バングラデシュ報道の自由は危機に瀕しています。ユヌス暫定政権下で640人の記者が標的となり、テロ防止法が批判封じ込めの道具として悪用される実態をChief Editorが分析します。
「報道の自由は完全に保証されている」と語ったノーベル平和賞受賞者の言葉は、どこへ消えてしまったのでしょうか。2024年8月にシェイク・ハシナ政権が崩壊し、ムハマド・ユヌス氏が暫定政府の首席顧問に就任した際、国民は民主化への大きな期待を抱きました。しかし、現実はその期待とは裏腹に、メディアへの圧力が強まっています。
バングラデシュ報道の自由を揺るがす「武器化された法執行」
ニューデリーのシンクタンク「Rights & Risks Analysis Group」の報告によると、ユヌス暫定政権の発足から2025年12月までに、少なくとも640人のジャーナリストが刑事訴追や家宅捜索、暴力の標的となりました。特に注目されているのは、「テロ防止法」が悪用されている実態です。
ジャーナリストのアニス・アラムギル氏は、SNS上で政府の方針を批判したとして、2025年12月14日に拘束されました。また、モンジュル・アラム・パンナ氏も憲法論議に参加しただけで、同様の容疑で起訴されています。これらは「武器化されたリーガリズム(法的実証主義)」と呼ばれ、法律を権利の保護ではなく、弾圧の道具として利用する手法です。
政府の否定と現場の恐怖
暫定政府の報道官であるシャフィクル・アラム氏は、これらの報告を「真っ赤な嘘」と一蹴しています。政府側は「批判を理由に訴追されたジャーナリストは一人もいない」と主張していますが、現場の記者の声は異なります。ダッカの編集幹部は、暴徒による襲撃や身の安全を懸念し、生存のために「意図的な自己検閲」を行っていると匿名で証言しました。
記者
関連記事
国際刑事裁判所(ICC)は、フィリピン元大統領ロドリゴ・ドゥテルテの裁判を2026年11月30日に開始すると決定。人道に対する罪3件で起訴された81歳の元指導者の裁判は、国際法と東南アジア政治の行方を占う試金石となる。
中国の職業高校で義務付けられたインターンシップ制度。16〜17歳の学生が過酷な労働環境で命を落とした事例が報告され、国際社会と企業の責任が問われています。日本企業のサプライチェーンにも無縁ではありません。
ロシアによるウクライナ人児童の強制移送問題。2万人超の確認事例、北朝鮮の関与疑惑、そして韓国が連合に参加していない事実が示す国際社会の課題を多角的に読み解く。
北京首脳会談でトランプ大統領と習近平国家主席は貿易・イラン問題を協議するが、人権問題は議題から外れる。両指導者が国際人権システムを骨抜きにしている構造を読み解く。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加