米下院、イラン戦争継続を承認 - 憲法上の戦争権限を巡る攻防
米下院がトランプ大統領のイラン戦争継続を219対212で承認。戦争権限決議案は否決され、議会と大統領の権限を巡る憲法論争が激化している。
金曜日の朝、ワシントンD.C.の連邦議会議事堂に濃い霧がかかった。まるで、アメリカの戦争権限を巡る憲法論争の行方を象徴するかのように。
米下院は3月5日、ドナルド・トランプ大統領によるイラン戦争の停止と、今後の軍事行動に議会承認を求める戦争権限決議案を219対212の僅差で否決した。共和党が過半数を占める下院での予想された結果だが、その背景には建国以来続く大統領と議会の権力バランスを巡る根深い対立がある。
憲法が定める戦争権限の曖昧さ
米国憲法では「議会のみが戦争を宣言できる」と明記されている。しかし、大統領の軍事行動権限については曖昧な部分が多く、法学者たちは長年「即座の自衛」の場合のみ大統領が単独で軍事行動を取れると解釈してきた。
下院外交委員会の民主党筆頭議員であるグレゴリー・ミークス議員は「ドナルド・トランプは王ではない。イラン戦争が国益にかなうと信じるなら、議会に来てその根拠を示すべきだ」と強く批判した。
一方、下院外交委員会委員長の共和党ブライアン・マスト議員(フロリダ州)は、アフガニスタンで爆発物処理専門家として従軍した経験を持つ退役軍人として、「大統領は憲法上の権限を使ってアメリカを『差し迫った脅威』から守っている」とトランプ大統領を擁護した。
国民の戦争疲れと政治的現実
土曜日にイランへの奇襲攻撃を開始したトランプ政権だが、党派を超えて戦争に懐疑的だったアメリカ国民の支持獲得に苦戦している。政権幹部は今週、議会で数時間にわたって非公開説明会を開き、状況をコントロールしていると議員たちを説得しようと試みた。
しかし現実は厳しい。週末にクウェートでの無人機攻撃により6人の米軍兵士が死亡し、トランプ大統領自身も「さらに多くのアメリカ人が死ぬ可能性がある」と認めている。中東に滞在する数千人のアメリカ人が帰国便を求めて奔走し、多くが議会事務所に助けを求める電話をかけている状況だ。
日本への波及効果
今回の決定は日本にも重要な影響を与える可能性がある。中東情勢の不安定化により、トヨタやソニーなどの日本企業のサプライチェーンに影響が出ることが懸念される。また、日本政府は米国との同盟関係を維持しながらも、イランとの外交関係をどう調整するかという難しい選択を迫られている。
興味深いのは、下院が同日、イランを「最大のテロ支援国家」と認定する別の決議案を可決したことだ。これは戦争継続への支持というより、イランへの圧力を維持したいという超党派の意思の表れとも解釈できる。
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