ネタニヤフ首相6度目の訪米、トランプとの「蜜月」に隠れた温度差
イスラエル首相が1年で6度目の米国訪問。表面的な同盟関係の背後に、イランや貿易問題で見え隠れする両国の微妙な立場の違いとは。
1年間で6回。これは、ベンジャミン・ネタニヤフ・イスラエル首相がトランプ政権下で記録した米国公式訪問の回数です。今週予定される訪問で、この記録はさらに更新されることになります。
世界のどの首脳も、これほど頻繁にワシントンを訪れてはいません。しかし、この異例の密度の背後には、表面的な「蜜月関係」だけでは説明できない複雑な力学が働いています。
2025年2月:同盟関係の再確認から始まった亀裂
ネタニヤフ首相は昨年2月、トランプ大統領の第2期政権で最初に迎えられた外国首脳でした。「あなたはイスラエルがホワイトハウスで得た最も偉大な友人です」と最大限の賛辞を送った首相。
しかし、この訪問でトランプ大統領が提案したのは、ガザ地区の住民を強制移住させ「中東のリビエラ」に変えるという計画でした。国際社会の強い反発を招いたこの提案により、1月から続いていた停戦は数週間後に崩壊。イスラエルは再びガザでの軍事作戦を本格化させました。
4月:関税問題で露呈した「特別扱い」の限界
トランプ政権が世界各国に関税を課す中、ネタニヤフ首相は4月に再び訪米。イスラエルの関税免除を求める貿易促進策を発表しましたが、トランプ大統領の反応は冷ややかでした。
「忘れてはならない。我々はイスラエルを大いに支援している。年間40億ドルも提供しているのだ」
この発言は、いかに親イスラエルのトランプ政権といえども、経済的な「特別扱い」には限界があることを示唆していました。
一方、イランへの軍事行動を求めるネタニヤフ首相に対し、トランプ大統領は核協議の開催を発表。「取引の方が明らかな選択肢より望ましい」と述べ、外交解決を優先する姿勢を見せました。
7月:共同軍事行動という「勝利」
6月に米イ両国がイランの核施設3か所を爆撃した後、ネタニヤフ首相は7月に「勝利の凱旋」として訪米。トランプ大統領も「イランの核計画を壊滅させた」と成果を誇りました。
「トランプ大統領と私のパートナーシップが歴史的勝利をもたらした」と語るネタニヤフ首相。しかし、ガザでの停戦圧力が高まる中でも、両首脳は「歩調を合わせている」と強調するにとどまりました。
現在:表面的な一致と根深い相違
5回の訪問を通じて見えてくるのは、両首脳の関係の二面性です。公の場では互いを「英雄」「最大の友人」と呼び合いながらも、具体的な政策では微妙な温度差が存在します。
トランプ大統領は「取引」を重視し、イランとの外交も選択肢として残したがる。一方のネタニヤフ首相は、リビア型の完全武装解除という最大限の要求を掲げ続けています。
今週の6度目の訪問でも、イラン問題が主要議題となる見込みです。米イ間接協議が進む中、ネタニヤフ首相がワシントンでより強硬な対イラン政策を求めるのは確実でしょう。
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