グーグル、スマートグラス市場でメタに挑戦状
グーグルが2025年にスマートグラス市場へ再参入。Gemini AIを武器にメタのシェアを奪えるか。ファッション性と技術力の戦いが始まる。
2026年末までに2,000万台から3,000万台。これはメタがスマートグラス生産能力の倍増を目指す数字だ。しかし、この急成長市場に強力な挑戦者が現れようとしている。グーグルが今年、新しいスマートグラスで市場復帰を果たすのだ。
失敗からの復活劇
グーグルのスマートグラス挑戦は今回が初めてではない。2014年に発売された初代Google Glassは、プライバシー懸念とファッション性の欠如により市場から姿を消した。「あまりにもひどかった」とIDCのアナリスト、ジテシュ・ウルバニ氏は振り返る。
しかし今回は違う。グーグルは二つの戦略で市場に臨む。一つはAndroid XRエコシステムによるアプリ対応の迅速化、もう一つはワービー・パーカーやジェントル・モンスターといったファッションブランドとの提携だ。
サムスンやXRealとの技術提携により、ディスプレイと高性能コンピューティング機能を搭載したモデルも開発中だ。サムスンは今年、より大型で高機能なスマートグラスを発売予定で、これもAndroid XRで動作する。
Gemini AIという切り札
グーグルの最大の武器はGemini AIだ。同社のAIモデルはOpenAIやメタを緊張させ、開発競争を加速させるほどの性能を持つ。アップルでさえ新しいSiriの機能にGeminiを採用することを決めた。
「メタ AIを使うたびに、Geminiだったらよかったのにと思う」と、ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのアンシェル・サグ氏は語る。メタのスマートグラスでAI機能を使いながら、彼はこう続けた。「グーグルのグラスでGeminiが使えるようになるまで、スマートグラスでのAIの真の可能性は実現されないと思う」。
メタのAI翻訳機能や画像認識機能は、実際の使用場面では期待通りに動作しないことが多い。一方、Geminiの会話能力は業界をリードしている。
ファッション性という課題
メタが現在市場を支配している理由の一つは、エシロールルクソッティカ(レイバンとオークリーの親会社)との提携により、実際に人々が公共の場で着用したいと思うデザインを実現していることだ。
一方、グーグルの新しいグラスは「重くて奇妙に見える」可能性が高い。昨年公開されたAndroid XRプラットフォームのデモでは厚いフレームが使われ、最近のデモ動画でも似たようなデザインが確認されている。
「グーグルは技術企業としては優秀だが、ファッションとグラス販売については学ぶべきことが多い」とウルバニ氏は指摘する。
プライバシーという差別化要因
メタには信頼性の問題がある。ユーザープライバシー慣行と度重なるデータ漏洩により、消費者の信頼を完全には得られていない。
「データプライバシーとセキュリティに関して、メタは最も信頼される技術ブランドとは言えない」とCCSインサイツのベン・ハットン氏は述べる。「グーグルがデバイス内処理とセキュリティを前面に押し出せば、より多くの注目を集められるかもしれない」。
日本市場への影響
日本企業にとって、この競争は新たな機会を意味する。ソニーはすでにVR技術で強みを持ち、任天堂はウェアラブルゲーミングの可能性を探っている。トヨタのような自動車メーカーも、スマートグラスを活用した新しいモビリティ体験を検討している可能性がある。
高齢化社会を迎える日本では、スマートグラスによる視覚支援や健康モニタリング機能への需要が高まることも予想される。
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