フランス、新原子力空母の建造を決定 国防費倍増で海洋におけるプレゼンス強化へ

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は12月21日、新型の原子力空母を建造する計画を正式に発表しました。この動きは、フランスが国防費を大幅に増額し、激動する国際情勢の中で海洋における軍事力を強化する明確な意思表示と見られています。

アブダビに駐留するフランス軍部隊への演説で、マクロン大統領は「略奪者の時代において、我々は恐れられるために強くあらねばならず、特に海上で強くなければならない」と強調。「この大規模プログラムの建造開始という決定は、今週下された」と述べ、計画が実行段階に入ったことを明らかにしました。

「これは、海の自由と現代の激動の時代において、我が国の力を示すものだ。」

- エマニュエル・マクロン、フランス大統領

2038年の就役を目指すこの新空母は、2001年から運用されている現在の「シャルル・ド・ゴール」の後継艦となります。性能面でも大幅な向上が図られます。

新空母は、世界最大の軍艦である米海軍の「ジェラルド・R・フォード」（排水量10万トン超）には及ばないものの、フランス海軍の能力を飛躍的に高めるものです。前任艦と同様に原子力推進を採用し、フランス製のラファールM戦闘機を搭載する予定です。

この巨大プロジェクトは経済的な波及効果も期待されており、マクロン大統領は、数百社に及ぶサプライヤー（その多くは中小企業）に恩恵がもたらされると説明。「来年2月には造船所を訪れ、企業支援のコミットメントを自ら保証する」と付け加えました。

フランス国防省によると、新空母は重武装での長距離展開を、短期間の通知で、長期間にわたり繰り返し実行する能力を持つことになります。2023年時点での建造費は、当時の国防相セバスチャン・ルコルニュ氏（現首相）によって約100億ユーロ（約117億ドル）と見積もられていました。

現在、フランス軍の現役兵力は約20万人、予備役は4万人を超え、ポーランドに次いでEU第2位の規模を誇ります。政府は予備役の数を2030年までに8万人に増強する目標を掲げており、今回の新空母建造は、こうした国防力強化の一環として位置づけられています。