都市に特化した気候テック投資、2150が2億ユーロ調達の真意
欧州のVC・2150が都市問題に特化した気候テック投資で2億ユーロを調達。「都市は美しい吸血イカ」という比喩の真意と、日本の都市課題への示唆を探る。
「都市は美しい吸血イカのようなもので、あらゆる資源を吸い込んでいる」
欧州のベンチャーキャピタル・2150の共同創設者ヤコブ・ブロ氏のこの比喩は、気候変動対策への新たなアプローチを象徴している。同社は都市に特化した気候テック投資で2億1000万ユーロ(約340億円)の第2号ファンドを調達した。
都市が気候変動の鍵を握る理由
2150の投資哲学は明確だ。世界のGDPの80%を生み出す都市が、同時に温室効果ガス排出量の70%も占めている。この矛盾こそが、最大の投資機会だと彼らは見ている。
「都市が繁栄するために必要なあらゆるもの——建設、消費、インフラ——を見れば、技術的なボトルネックが見えてくる」とブロ氏は説明する。持続可能性は単なる理想論ではなく、「より安く、より速く、地政学的にも独立した、より良いビジネス」なのだという。
同社はこれまでに、工業用ヒートポンプのAtmosZero、電子廃棄物リサイクルのGetMobil、金属スクラップ市場のMetycle、直接空気回収のMissionZeroなど7社に投資している。
日本の都市課題との接点
2150のアプローチは、日本の都市問題と興味深い共通点を持つ。同社パートナーのクリスチャン・エルナンデス氏は「欧州は2040年までに1億人の人口減少が予想される」と指摘する。オランダでは既に人口の50%が50歳以上だ。
日本はこの課題の先駆者といえる。超高齢化社会で労働力不足に直面する中、産業自動化やスマートシティ技術への投資は不可欠だ。ソニーの画像センサー技術、トヨタの水素技術、パナソニックのエネルギー管理システムなど、日本企業の技術が都市の脱炭素化に果たす役割は大きい。
AIブームが生む新たな投資機会
2150が特に注目するのは、AI需要急増で拡大するデータセンターと産業自動化の分野だ。しかし彼らにとってAIは単なるエネルギー関連投資の機会ではない。
「影響は気候よりも社会的な側面が大きい」とエルナンデス氏は語る。高齢化が進む社会で、産業自動化は労働者の生産性向上とGDP創出、年金財源確保の鍵となる。
日本企業にとって、これは大きなチャンスだ。ファナックの産業ロボット、オムロンの制御機器、キーエンスのセンサー技術など、日本の製造業が培った自動化技術は、世界の都市課題解決に直結している。
成果と今後の展望
2150のポートフォリオ企業は昨年、100万トンのCO2削減を実現した。「小さなVCファンドが4年で100万トン規模の影響を生み出せる事実は、商業的な成功と併せて、我々が正しい方向に向かっていることを示している」とエルナンデス氏は自信を見せる。
第2号ファンドでは20社への投資を計画し、1社あたり500万〜600万ユーロ(約8〜10億円)を投資する予定だ。半分は既存投資先への追加投資に充てられる。
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