中国の対米投資が10年で27%から2.6%へ急減、アジア重視の新戦略
中国企業の対米直接投資が10年間で10分の1に激減。地政学的緊張の中、中国はアジア・中東・アフリカへの投資を拡大し、グローバル戦略を大転換している。
中国企業の投資マネーが、アメリカから離れている。ロジウム・グループの最新データによると、2025年に中国が発表した対外直接投資のうち、北米向けはわずか2.6%だった。これは10年前の27%から劇的な減少である。
米中緊張が生んだ投資の地殻変動
この変化の背景には、深刻化する米中間の地政学的緊張がある。アメリカは半導体や人工知能などの先端技術分野で中国企業への輸出規制を強化し、投資審査も厳格化している。
中国企業が直面した具体的な挫折は数多い。2024年10月、中国の電池メーカーゴーションは、数年にわたる法的・政治的反発を受けて、ミシガン州での24億ドルの工場建設計画を断念した。2025年1月には、米国のHieFo Corporationが、共同創設者の一人が中国国籍であることを理由に、2024年に取得した半導体製造資産の売却を余儀なくされた。
「プロジェクトが最終的に進まないリスクが高まっているため、中国企業は大規模投資を控えるようになった」と、ロジウム・グループの上級研究アナリスト、ダニエル・ゴー氏は指摘する。
アジアが新たな投資の中心地に
中国マネーの行き先は明確だ。北米、欧州、オセアニアを合わせた投資比率は、2016年の70%から2025年には20%未満まで急落した。代わりに、アジアが約400億ドルの新規投資を獲得し、最大の投資先となった。
投資内容も変化している。2025年の1000億ドルのグリーンフィールド投資(親会社が外国で新規事業を一から構築する投資)は、主に材料と製造業のサプライチェーン多様化に向けられた。アジアでは「製造業投資、データセンター、原材料の採掘・加工の組み合わせ」が投資を牽引している。
中東・北アフリカでは大規模製造業とクリーンエネルギープロジェクト、サハラ以南アフリカではエネルギーと材料加工産業への大型投資が目立つ。
日本企業への示唆
日本企業にとって、この変化は複雑な意味を持つ。中国企業のアジア回帰は、東南アジアや南アジアでの競争激化を意味する一方、新たな協業機会も生み出している。特に、中国が重視するデータセンターや原材料分野では、日本の技術力が求められる場面も多い。
トヨタやソニーなどの日本企業は、すでにアジア各国で中国企業との競合と協調を同時に経験している。今後は、この「チャイナ・マネーのアジア集中」にどう対応するかが、グローバル戦略の鍵となりそうだ。
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