イラン抗議デモ 2025:中央アジア諸国が沈黙を貫く3つの経済・政治的背景
2025年末に勃発したイランの大規模抗議デモに対し、中央アジア諸国が沈黙を守る理由を分析。原油価格への影響やトランプ政権の動向、そして各国独自のデモ鎮圧の歴史が複雑に絡み合う現状を Chief Editor が解説します。
隣国の火種をただ見つめています。イランで発生した大規模な抗議デモに対し、中央アジア諸国は異例の「沈黙」を保っています。
ディプロマット誌などの報道によると、2025年12月末に通貨リアルの価値が対ドルで142万リアルまで暴落したことをきっかけに始まった今回のデモは、イラン全域に拡大しました。食料品価格が前年比で72%急騰したことへの不満は、今や政権交代を求める声へと変貌し、少なくとも599人の死者と1万人を超える拘束者を出していると報告されています。しかし、隣接するカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの政府は、公式な声明を一切控えています。
イラン抗議デモ 2025 への対応を阻む「原油」と「トランプ・ファクター」
この沈黙の背景には、深刻な経済的懸念があります。金融アナリストのラスル・リスマンベトフ氏は、イランが社会支出を賄うために原油生産を増強し、6か月以内に日量50万バレルを追加投入する可能性を指摘しています。原油輸出に依存するカザフスタンにとって、国際油価の暴落を招きかねないこのシナリオは、自国の国家予算を脅かす死活問題です。
さらに、トランプ米大統領が「(介入の)準備は整っている」と軍事介入の可能性を示唆していることも、中央アジア諸国を慎重にさせています。介入の行方が不透明な中、特定の立場を表明することは、将来的に高い外交的代償を払うリスクがあると考えられているようです。また、ロシアが静観の構えを見せていることも、これら諸国が現状維持を選択する「盾」となっています。
過去の鎮圧経験がもたらす「権威主義的連帯」
もう一つの理由は、中央アジア諸国自身が抱える国内事情です。2022年1月に燃料価格の高騰から始まった抗議デモを武力で鎮圧したカザフスタンや、民主化から遠ざかり権威主義を強めるキルギスにとって、イランの弾圧を非難することは、自国の過去や体制を否定することに繋がりかねません。権威主義的な統治を維持するために弾圧を選択してきた歴史が、結果として「他国の弾圧にも口を出さない」という無言の合意を形成していると言えるでしょう。
記者
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