カザフスタンのウラン政策転換が問いかけるもの
世界最大のウラン生産国カザフスタンが外国投資を事実上排除する法改正を実施。資源ナショナリズムの新たな潮流か、それとも国家安全保障の必然か。
世界のウラン供給の39%を担うカザフスタンが、突如として外国企業を締め出した。カナダのラマイド・リソーシズは1月20日、同国での大規模ウラン探査プロジェクトの中止を発表。理由は昨年12月のカザフスタン地下資源利用法の改正だった。
わずか4か月前まで、同社のマーク・ヘンダーソンCEOは「カザフスタン政府は外国投資を積極的に奨励している」と語っていた。何が変わったのか。
突然の政策転換
ラマイド・リソーシズは2024年9月、カザフスタンのアラル・リソーシズと3年間のオプション契約を締結。6,000平方キロメートルにわたる22の探査ライセンスを対象とした大規模プロジェクトだった。同社は「世界で最も有望なウラン鉱床地域での探査機会」として期待を寄せていた。
しかし12月26日、トカエフ大統領が署名した法改正により状況は一変した。新たな生産契約では国営カザトムプロムの取り分が50%から75%に引き上げられ、契約延長時には90%の国家保有が義務付けられた。
ヘンダーソンCEOは「事実上の国有化」と批判し、「価値が創出される前に国家所有権を確保する先制的な動き」と表現した。同社は「カザフスタンでのウラン探査への外国直接投資の経済的根拠はもはや存在しない」として撤退を決めた。
迫られる選択の背景
カザフスタンの動機は複雑だ。カザトムプロムの2025年11月の投資家向け資料によると、同社の資源ベースは急速な減少期に入り、2057年には完全に枯渇する見通しだ。石油、金に次ぐ第3の輸出品であるウランの将来に危機感を抱いているのは明らかだ。
同時に、カザフスタンは少なくとも3基の原子力発電所建設を計画しており、自国のウラン需要が拡大する。カザトムプロムのユスポフ会長は「原子力発電所建設のための信頼できる資源ベースを構築する」国家計画に沿った措置だと説明した。
一方で、カザフスタンで操業する14のウラン採掘会社のうち、カザトムプロムが完全所有するのはわずか2社。残りは外国投資家が関与しており、今回の法改正の影響は契約更新時に段階的に現れる。
日本への波及効果
日本にとってこの動きは看過できない。日本の原子力発電再開に向けた動きが加速する中、ウラン供給の安定性は重要な課題だ。カザフスタンからの調達に依存する日本企業は、代替調達先の確保や長期契約の見直しを迫られる可能性がある。
特に、三菱重工業や日立製作所など原子力関連技術を手がける日本企業にとって、ウラン価格の上昇や供給不安定化は事業計画に影響を与えかねない。また、商社各社のウラン調達戦略の再考も必要となるだろう。
記者
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