英加首脳が中国との関係見直しを示唆、ファイブアイズに亀裂か
カナダのカーニー首相と英国のスターマー首相が相次いで中国との関係見直しを表明。世界最古の情報共有同盟「ファイブアイズ」に変化の兆し。
2026年の幕開けから数週間で、世界最古の情報共有同盟「ファイブアイズ」の5カ国のうち2カ国の首脳が、中国との関係を見直す意向を示した。
まず口火を切ったのはカナダのマーク・カーニー首相で、続いて今週、英国のキア・スターマー首相が同様の姿勢を表明した。西側諸国がホワイトハウスの予測困難で時として敵対的な政策に直面する中、カナダと英国は中国との新たな協力の道を模索している。
ファイブアイズの結束に変化
ファイブアイズは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成され、1946年の英米協定に端を発する情報共有体制だ。これまで中国を安全保障上の脅威として位置づけてきたが、今回の動きは同盟内の足並みに微妙な変化を示している。
カーニー首相は年頭の記者会見で「中国との建設的な対話の重要性」に言及し、経済関係の段階的な正常化を示唆した。一方、スターマー首相も今週の議会演説で「実用的なアプローチ」の必要性を強調し、気候変動や貿易分野での協力可能性に触れた。
両首脳の発言は、トランプ政権の対中強硬路線とは一線を画すものだ。特に英国は、2021年の香港問題や新疆ウイグル自治区の人権問題を受けて中国との関係が冷え込んでいただけに、今回の方針転換は注目に値する。
経済的現実と地政学的バランス
背景には厳しい経済状況がある。英国の対中貿易額は年間約900億ポンドに上り、カナダも中国を第2位の貿易相手国としている。両国ともコロナ禍後の経済回復が遅れており、中国市場への依存度を完全に断ち切るのは現実的ではない。
日本企業にとって、この変化は複雑な意味を持つ。トヨタやソニーなど、英加両国に拠点を持つ日系企業は、現地政府の対中政策に影響を受ける可能性がある。特に半導体や自動車分野では、サプライチェーンの再編が避けられない状況だ。
一方で、米国とオーストラリアは依然として対中強硬姿勢を維持している。オーストラリアは2020年以降、中国からの経済制裁を受けながらも立場を変えておらず、ファイブアイズ内での温度差が鮮明になっている。
アジア太平洋地域への波紋
英加両国の方針変更は、アジア太平洋地域の安全保障バランスにも影響を与える可能性がある。日本はクアッド(日米豪印)やAUKUS(英米豪)を通じて中国封じ込めに参加してきたが、英国の姿勢軟化は戦略の見直しを迫られるかもしれない。
韓国や東南アジア諸国も、大国間のバランス外交を重視しており、英加の動きを注視している。特にシンガポールやマレーシアは、米中対立の激化を懸念しており、今回の変化を歓迎する可能性が高い。
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