シリコンバレーの伝説的投資家が語る「情熱を追う」戦略
ベンチマーク・キャピタルのビル・ガーリー氏が、AI時代における「情熱追求」の競争優位性について新著で主張。日本の働き方改革への示唆も。
60%の人が「キャリアを最初からやり直したい」と答えたら、あなたはどう思いますか?
ウーバー、Zillow、Stitch Fixへの初期投資で知られるベンチマーク・キャピタルのビル・ガーリー氏が、30年間のベンチャー投資から身を引き、新たな使命に向かっています。それは「情熱を追うことが競争戦略である」という主張を込めた新著『Runnin' Down a Dream』の出版と、年間100人に5,000ドルの助成金を提供する財団の設立です。
「情熱追求」は甘い理想論ではない
ガーリー氏がウォートン・ビジネススクールと共同で実施した調査では、驚くべき結果が明らかになりました。約60%の人々が「キャリアを最初からやり直せるなら、違うことをする」と回答したのです。
「若い頃は、人生が『使うか失うか』の命題だということを理解するのが難しい」とガーリー氏は語ります。ダニエル・ピンクの研究によれば、人々が年を重ねて最も後悔するのは「やらなかったこと」、つまり「試さなかった石」だといいます。
特に日本では、親が子どもの経済的安定を重視し、真の情熱探求を奨励しない傾向があります。しかしガーリー氏は「AI時代においては、それが正しい判断ではなかった可能性がある」と指摘します。
日本の「996文化」への意外な見解
興味深いことに、ガーリー氏は近年シリコンバレーで広がる「996文化」(朝9時から夜9時まで週6日働く)について、肯定的な見解を示しています。
「正直に言うと、私はそれを愛している」とガーリー氏。「シリコンバレーはCOVID期間中に本当に怠惰になった。オフィスに来ない、文化が軟弱になった。私が長年見てきた中で初めてのことだった」
彼の論理は明快です。アスリートが1日12時間練習することを素晴らしいと思うなら、なぜ起業家が同じように情熱を注ぐことを批判するのか?重要なのは、それが本当に愛していることかどうかです。
AI時代における「差別化」の重要性
ガーリー氏は、従来のキャリアパス——大学のキャリアセンター、リクルーター面接——について警告します。「あなたは歯車のように見える。大量生産されたように見える。そのグループにとって、AIは恐ろしく見えるし、実際そうかもしれない」
しかし、独自の道を切り開く人々にとって、AIは脅威ではなく機会となります。「もしあなたが自分の道を切り開き、書籍の技術を使って、私が『候補者オブワン』と呼ぶ存在になるなら、AIはあなたを助けるツールになる」
日本企業への示唆:メンターシップの再考
ガーリー氏のメンターシップに関する助言は、日本企業の人材育成にも重要な示唆を与えます。「理想のメンターを求めて手の届かない人に連絡するのではなく、2段階下のレベルの人を目指しなさい」
LinkedInなどのツールを活用し、まだ誰からもメンターになることを求められたことのない人を見つける。「彼らはあなたが彼らを知っていることに感動し、初めてメンターになることを求められることに感動するでしょう」
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