英国の暗号資産規制、銀行の「デバンキング」で空洞化
英金融庁が暗号資産企業59社を認可したにも関わらず、HSBC、バークレイズなど大手銀行が顧客の暗号資産取引を制限。規制と実態のギャップが浮き彫りに
英国が「世界の暗号資産首都」を目指すと宣言する一方で、実際の銀行現場では正反対の現象が起きている。金融行為監督機構(FCA)が認可した暗号資産企業への送金すら、大手銀行が次々と遮断しているのだ。
数字が語る現実のギャップ
英国暗号資産事業評議会の調査によると、80%の暗号資産取引所が2025年に顧客の銀行送金ブロックの増加を経験した。40%の取引が遮断または遅延され、70%の取引所が銀行環境の敵対化を感じている。
これは単なる感情論ではない。ある取引所は2025年だけで銀行側の拒否により約14億ドルの取引が拒否されたと報告している。FCAが認可した59社の暗号資産企業には、コインベース、クラーケン、ジェミニといった世界的な取引所も含まれているにも関わらずだ。
HSBC、バークレイズ、ナットウェストといった大手銀行は暗号資産取引所への送金に上限を設定。チェース英国、メトロバンク、TSB、スターリング銀行は完全に送金をブロックしている。
規制当局と銀行の温度差
FCAは2027年10月までに新たな規制を実施する方針で、昨年末には財務省が既存の金融規則を暗号資産業界に拡大する法案を可決した。規制当局は明らかに前向きな姿勢を示している。
一方、銀行側の論理は「顧客保護」だ。スターリング銀行の広報担当者は「デジタル資産の高いリスクを考慮し、顧客を保護するための決定」と説明する。英国金融業界団体UK Financeも「詐欺やスキャム、経済犯罪の脅威に対する責任」を強調している。
日本への示唆
日本でも暗号資産規制は進展しているが、英国の状況は重要な教訓を提供する。規制の整備と実際の金融インフラの連携なくしては、政策目標の達成は困難だということだ。
日本の大手銀行は英国ほど厳格な制限は設けていないものの、暗号資産取引への慎重姿勢は共通している。三菱UFJ銀行や三井住友銀行などが今後どのような方針を取るかは、日本の暗号資産市場の発展を左右する可能性がある。
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