アップル、時価総額3兆ドル割れ。iPhone需要への懸念が株価を直撃
アップルの時価総額が3兆ドルを割り込んだ。バークレイズがiPhone 16の需要低迷を理由に投資判断を引き下げ、株価は3.6%下落。特許紛争や規制強化など、同社が直面する複数の課題を解説。
核心のまとめ
アップル(Apple Inc.)の時価総額が、重要な心理的節目である3兆ドルを割り込みました。これは、大手投資銀行バークレイズが最新のiPhoneの販売不振を理由に同社の株式評価を引き下げたことを受けたもので、株価は木曜日の取引で3.6%近く下落し、185.56ドルで取引を終えました。
バークレイズによる格下げが引き金に
今回の株価下落の直接的な引き金となったのは、バークレイズのアナリスト、ティム・ロング氏による投資判断の引き下げです。同氏はアップルの評価を「アンダーウェイト(弱気)」とし、目標株価を161ドルから160ドルへとわずかに引き下げました。
バークレイズが指摘する懸念材料は主に3つあります。
- iPhone需要の鈍化:特に最新モデルであるiPhone 16の需要が弱いこと。
- その他ハードウェアの停滞:Mac、iPad、ウェアラブル製品の売上が、2024年に見られた回復基調から再び停滞に転じる可能性。
- サービス事業への逆風:App Storeなどをめぐる各国の規制強化が、高収益部門であるサービス事業の成長を脅かしていること。
相次ぐ逆風と市場の懸念
バークレイズの指摘は、市場に広がる懸念を反映したものです。事実、他の証券会社からも同様の警告が発せられています。Piper SandlerとD.A. Davidsonは最近、iPhoneの出荷台数予測を下方修正しており、ホリデーシーズンを含む四半期の需要が予想を下回る可能性を示唆しています。
法的・規制リスクの高まり
アップルは現在、複数の法的・規制上の課題に直面しています。米国では、最新のApple Watch Series 9およびUltra 2が医療技術企業マシモとの特許紛争により販売停止に追い込まれました。さらに、米司法省による独占禁止法訴訟や、欧州のデジタル市場法(DMA)に基づく調査も事業リスクとして意識されています。
2024年の好成績と今後の展望
今回の株価下落にもかかわらず、アップルの株価は2024年全体で見れば48%上昇という素晴らしい成績を収めました。しかし、これはマイクロソフトやエヌビディアといった他の「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大テック企業の一部には及ばないパフォーマンスです。また、同社の売上高は2024年第4四半期決算で4四半期連続の減少を記録しており、成長の勢いに陰りが見え始めています。
PRISM Insight
アップルは2022年1月に世界で初めて時価総額3兆ドルに到達した企業ですが、今回の節目割れは、同社が「安泰な成長」の時代から「複数の課題に直面する」時代へと移行しつつあることを象徴しています。投資家にとっての焦点は、iPhoneへの過度な依存から脱却し、規制強化や特許紛争といった逆風の中で、同社が新たな成長ドライバーを見つけ出せるかどうかに移っていくでしょう。今後の決算で示されるハードウェア販売の動向と、サービス事業の強靭性が試されることになります。
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