フィリピン政界の亀裂:マルコス・ドゥテルテ「統一連合」の崩壊と巨大汚職の衝撃
2025年、フィリピンでマルコス大統領とドゥテルテ副大統領の「統一連合」が崩壊。大規模な汚職スキャンダルが政治危機を招き、経済への影響も懸念される中、マルコス政権が直面する最大の試練を分析します。
2025年のフィリピン政界は、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領とサラ・ドゥテルテ副大統領の陣営間の激しい内紛により、汚職と説明責任の問題に揺れました。かつての「統一連合」が事実上崩壊し、大規模な汚職疑惑が引き金となった全国的な抗議デモは、マルコス大統領を就任以来最大の試練に直面させています。
外交面でマルコス大統領は、西フィリピン海における中国の攻撃的な行動に対する強い姿勢や、2026年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国就任が決定したことで国際的な注目を集めました。また、ホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談し、より良い関税協定を確保したと称賛されました。しかし、こうした外交的成果も、国内の支持率低下を食い止めるには至りませんでした。
発端は、基準を満たさない洪水対策プロジェクトでした。マルコス大統領は汚職が原因だと非難しましたが、調査が進むにつれ、問題が単一の機関に留まらないことが判明。汚職に関与した建設業者、インフラ担当の高官、さらにはポークバレル(利益誘導型予算)を不正に利用したとされる国会議員までもが次々と訴追されました。疑惑の矛先はマルコス大統領自身にも向けられ、一部の与党同盟者からは、大統領が不正プロジェクトからリベートを受け取っていたとの告発も出ています。
一方、ドゥテルテ家もまた逆風に直面しています。皮肉にも、汚職疑惑が取り沙汰される下院議員らが、サラ・ドゥテルテ副大統領の機密費不正使用を理由に弾劾を可決。後に最高裁判所がこの弾劾を無効と判断したものの、ドゥテルテ家の地元での複数の不透明なプロジェクトについても汚職調査の可能性が浮上しています。
しかし、こうした逆境にもかかわらず、ドゥテルテ家は政治的な勝利も収めています。中間選挙ではドゥテルテ派の候補者が上院で複数当選し、サラ副大統領は2028年の大統領選挙に向けた世論調査で依然としてトップを走っています。
マルコス・ドゥテルテ両陣営の対立は、野党勢力を利する結果となりました。反汚職運動が全国的な抗議デモを組織し、政府支出に対する国民の監視の目が厳しくなっています。世論の圧力が高まる中、マルコス大統領は内閣改造に踏み切ったほか、議会に対し予算審議のライブ配信や「反政治家一族法案」の制定といった大胆な改革を要請しました。
大統領が公に支持を表明した「反政治家一族法案」は、フィリピン政治の構造を根本から変える可能性を秘めています。この法案が成立すれば、理論上、マルコス家やドゥテルテ家を含む現職の有力政治家が再び公職に立候補することを禁じることができます。この動きの真意はともかく、大統領と下院議長がこのような措置に言及せざるを得ない状況は、政治刷新を求める国民の声がいかに強いかを物語っています。
汚職とそれに伴う政治危機は、すでに投資家の信頼を損ない、特に建設業界で経済活動が鈍化する可能性が指摘されています。マルコス大統領は辞任要求を一蹴し、汚職官僚の責任を追及する姿勢を強調していますが、前途は多難です。彼自身に向けられた疑惑が弾劾訴追に発展するか、あるいは政権のさらなる弱体化を招く可能性があり、2026年は彼にとってさらに厳しい年となるでしょう。
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