Liabooks Home|PRISM News
AIエージェント、2025年の主役となる
テック

AIエージェント、2025年の主役となる

15分で読める


1. チャットボット vs エージェント:決定的な違い

ChatGPTやClaudeに「会議の日程を調整して」と言うと、こう答えます。

「会議の日程を調整するには、カレンダーアプリで参加者の空き時間を確認し、適切な時間を選んで、招待メールを送信してください。」

素晴らしいアドバイスです。しかし、実際にやってはくれません。これがチャットボットです。

一方、AIエージェントに同じ依頼をすると、こうなります。

  1. カレンダーにアクセスして参加者の予定を確認する
  2. 全員が空いている時間帯を探す
  3. 会議室予約システムで空き部屋を確認する
  4. 会議を作成し、参加者に招待メールを送信する
  5. 「4月15日午後2時に会議を設定しました。3階の会議室Aです。」

言葉ではなく行動で応答すること、これがAIエージェントの本質です。

主な違いを整理すると

区分チャットボットAIエージェント
出力テキスト応答実際の作業実行
ツール使用なしまたは限定的様々な外部システムと連携
自律性質問にのみ反応目標に向かって自ら計画・実行
状態管理会話の文脈のみ記憶長期作業の状態を追跡
意思決定ユーザーに委任自ら判断して実行

IBMのAI研究者Maryam Ashooriはこう定義しています。「真のAIエージェントとは、推論と計画能力を備え、自律的に行動できる知能体です。」


2. なぜ2025年が「エージェントの年」なのか

2025年、AIエージェントへの関心が爆発しました。単なるマーケティングの流行ではありません。実際の技術と市場が臨界点を超えたからです。

数字で見るエージェント時代

  • 62%の企業がAIエージェントを実験または導入中(McKinsey)
  • 99%の企業向けAI開発者がエージェントを探索または開発中(IBM調査)
  • 73.8億ドル — 2025年AIエージェント市場規模(2023年の37億ドルから2倍成長)
  • 1,036億ドル — 2032年予想市場規模(年平均成長率45.3%)

なぜ今なのか?

第一に、LLMの推論能力が飛躍しました。 OpenAI o1、DeepSeek R1のような推論モデルが登場し、AIが単純な応答を超えて複雑な問題を段階的に解決できるようになりました。エージェントの「脳」がアップグレードされたのです。

第二に、ツール連携の標準が確立されました。 2024年11月にAnthropicが発表したMCP(Model Context Protocol)が1年で業界標準として定着しました。AIが外部システムと通信する「共通言語」ができたのです。

第三に、実用的な事例が証明されました。 CursorやClaude Codeのようなコーディングエージェントが実際の開発生産性を劇的に向上させました。「エージェントは本当に使える」ことを示したのです。

Gartnerの予測によると、2026年までに企業アプリの40%にタスク別AIエージェントが統合される見込みで、これは2025年の5%未満から急増する数字です。


3. MCP:AIエージェントの共通言語

AIエージェントが真に有用であるためには、外部システムと連携する必要があります。カレンダー、メール、データベース、API...問題は、これらすべてを接続するには、それぞれに合ったコネクタを作らなければならなかったことです。

Anthropicはこの問題を解決するためにMCP(Model Context Protocol)を作りました。

MCPとは?

MCPは、AIモデルが外部ツール、データソース、システムと接続するためのオープン標準プロトコルです。開発者がMCPサーバーを一度作れば、どのAIクライアントでもそのツールを使用できます。

分かりやすく言えば、USBと同じです。USB以前は、プリンター、マウス、キーボードごとに異なるポートが必要でした。USBが標準になってからは、すべての機器が一つのポートで接続できます。MCPはAI世界のUSBです。

爆発的成長

2024年11月に発表されたMCPは、1年で驚くべき成長を遂げました。

  • 数千のMCPサーバーがコミュニティで開発
  • 9,700万+ 月間SDKダウンロード(Python、TypeScript)
  • OpenAI、Google DeepMind、Microsoftが公式採用
  • 2025年12月、Linux Foundation傘下のAgentic AI Foundationに寄贈

特に2025年3月にOpenAIがMCPを採用したことは決定的な転換点でした。競合他社が作ったプロトコルを業界全体が標準として受け入れた稀有な例です。

MCPで可能になったこと

領域活用例
開発ツールCursor、Replit、SourcegraphがMCPでコードベースにAIを接続
企業システムGoogle Drive、Slack、Salesforce、GitHub連携
データベースPostgreSQL、MongoDBなどへの自然言語クエリ
自動化ワークフロービルダー(n8nなど)とエージェントの統合

4. 実際に動作するエージェントたち

理論は十分です。実際にどのようなAIエージェントが動作しているのでしょうか?

コーディングエージェント

2025年で最も成熟したエージェント分野です。

サービス特徴
Claude CodeAnthropicのCLIエージェント。コード作成・リファクタリング・デバッグを自律的に実行。SWE-bench 80.9%達成
CursorAIネイティブコードエディタ。エージェントモードで機能全体の実装が可能
GitHub CopilotVS Code統合。ますますエージェント的な機能を追加中
OpenAI Codex非同期コーディングエージェント。バックグラウンドで作業を実行

コーディングエージェントは単純な自動補完を超えました。「このバグを直して」と言えば、コードを分析し、問題を診断し、修正し、テストまで実行します。

コンピュータ使用エージェント

AIが人間のようにコンピュータを操作するエージェントです。

サービス特徴
Anthropic Computer UseClaudeがスクリーンショットを見てマウス・キーボードを制御
OpenAI Operatorウェブサイトを操作して予約、注文などのマルチステップ作業を実行

Operatorは食事の注文、航空券予約、フォーム入力などの作業を代行します。ただし、決済やログインなどの機密作業ではまだ人間の介入が必要です。

リサーチエージェント

情報収集と分析を自動化します。

サービス特徴
PerplexityAI搭載検索 + 深層リサーチ機能
ChatGPT Deep Research数十のソースを分析して総合レポートを生成
Gemini Deep Research最大48ページの調査レポートを自動生成

カスタマーサービスエージェント

Gartnerは2029年までにカスタマーサービスの問題の80%が人間の介入なしにAIエージェントによって解決されると予測しています。


5. エージェンティック・ブラウザの登場

2025年半ばから新しいトレンドが登場しました。エージェンティック・ブラウザ(Agentic Browser)です。ウェブブラウザ自体にAIエージェントを統合し、ユーザーの代わりにウェブを閲覧して作業を実行します。

主要なエージェンティック・ブラウザ

ブラウザ開発会社特徴
CometPerplexityChromiumベース。メール整理、ショッピング、旅行計画まで自動化
Operator統合ブラウザOpenAI開発中。OperatorエージェントとChatGPTを統合予定
DiaBrowser Company (Arc)AIネイティブブラウザ。ユーザーコンテキストを理解
Opera NeonOperaユーザーの代わりに行動を実行するAIアシスタント内蔵
Project MarinerGoogleGemini 2.0ベース。ChromeでAIエージェントを実行

Perplexity Cometの事例

2025年末にリリースされたCometは「AIネイティブブラウザ」を標榜しています。

  • 左側のサイドバーにPerplexityアシスタントが常駐
  • 開いているタブのコンテキストを把握し、会話に活用
  • エージェントモード:「Amazonで一番安いノイズキャンセリングヘッドホンを見つけてカートに入れて」などの複雑な作業を実行
  • 音声コマンド対応

IBM Thinkのレビューによると、Cometは「初期のGmailローンチを思い起こさせる需要」を見せています。

セキュリティ上の懸念

しかし、エージェンティック・ブラウザには深刻なセキュリティリスクも存在します。2025年8月、Brave SoftwareはCometで間接プロンプトインジェクション脆弱性を発見しました。悪意のあるウェブページが隠された指示を通じてAIエージェントを操作できたのです。

AIエージェントがユーザーの権限で複数のサイトにアクセスできるため、従来のウェブセキュリティ(同一オリジンポリシーなど)が無力化される可能性があります。ブラウザメーカー各社はこの問題の解決に奔走しています。


6. 企業はどのように導入しているか

導入状況

Deloitteによると、2025年に生成AIを使用する企業の25%がエージェンティックAIパイロットを開始し、2027年には50%に増加する見込みです。

現在エージェントAI導入が最も活発な分野:

順位分野活用事例
1IT/開発コードリファクタリング、自動テスト、バグ修正
2カスタマーサービスチケット分類、自動応答、問題解決
3マーケティングコンテンツ生成、A/Bテスト自動化
4営業リードスコアリング、メール自動化
5財務/法務契約書レビュー、コンプライアンス監視

導入戦略

専門家は段階的なアプローチを推奨しています。

  1. 低リスクのユースケースから開始:コアデータ以外の領域でパイロット
  2. Human-on-the-loop:エージェントが決定した後、人間がレビューする構造
  3. 段階的な自律性拡大:信頼が築かれたらより多くの権限を付与
  4. ガバナンスフレームワーク:エージェントの行動範囲と権限を明確に定義

ROIは?

Superhumanレポートによると、AIエージェントを早期導入した企業は運営コスト40%削減顧客満足度の有意な向上を経験しました。ただし、ほとんどの企業はまだパイロット段階にあるため、全社的なROI測定は時期尚早という意見もあります。


7. 知っておくべきリスクと限界

AIエージェントは強力ですが、まだ解決すべき課題が多くあります。

ハルシネーションの伝播

エージェントが誤った情報に基づいて行動すると、実際の被害が発生します。チャットボットのハルシネーションは「間違った回答」にとどまりますが、エージェントのハルシネーションは「間違った注文」「誤った予約」「削除してはいけないファイルの削除」につながる可能性があります。

より深刻なのは、マルチエージェントシステムでハルシネーションが伝播する可能性があることです。一つのエージェントのエラーが他のエージェントに伝わり、連鎖的なミスを引き起こします。

セキュリティ脆弱性

  • プロンプトインジェクション:悪意のあるウェブページやドキュメントに隠された指示がエージェントを操作
  • 権限問題:エージェントが過度な権限を持つと被害範囲が拡大
  • クレデンシャル窃取:エージェントがアクセスする認証情報が漏洩するリスク

2025年4月、セキュリティ研究者はMCP自体にもツール権限問題、類似ツール置換攻撃など複数のセキュリティ問題があることを指摘しました。

信頼性の問題

OpenAI OperatorはWebVoyagerベンチマークで38.1%の成功率を記録しました(人間は72.4%)。まだ「信頼して任せる」には不十分なレベルです。特に:

  • 複雑な指示をしばしば誤解する
  • 予期しない状況で停止する
  • 日付、数字などの詳細でエラーが発生

倫理的考慮

  • エージェントが下した決定の責任は誰にあるのか?
  • エージェントが収集したデータのプライバシー
  • 自動化された意思決定の透明性

8. 仕事はどう変わるのか

AIエージェントの台頭は必然的に雇用の変化をもたらします。どうなるのでしょうか?

楽観論

  • エージェントは人間を代替するより増強する
  • 反復的・機械的な業務から解放され、創造的・戦略的業務に集中
  • 新しい職種の創出:AIトレーナー、エージェント管理者、プロンプトエンジニア
  • McKinsey:AIにより2025年までに9,700万の新しい仕事が創出される可能性

現実論

  • 特定の役割は自動化の圧力を受ける(データ入力、基本的なカスタマーサービス、単純な分析)
  • スキルギャップによる二極化の懸念
  • 移行期間中の摩擦的失業は避けられない
  • 25%の企業がすでにAIで労働力不足を解消している(IBM)

対応戦略

個人向け:

  • AIツール活用能力(AIリテラシー)の開発
  • エージェントが代替しにくい能力の強化(複雑な判断、対人関係、創造性)
  • 継続的な学習習慣の定着

組織向け:

  • 再教育プログラムへの投資
  • 人間-AI協業ワークフローの設計
  • 段階的な導入で構成員の適応時間を確保


用語集

用語説明
AIエージェント目標に向かって自ら計画し、ツールを使い、作業を完了する自律的AIシステム
MCP(Model Context Protocol)Anthropicが開発したオープン標準。AIが外部システムと連携するための共通プロトコル
エージェンティック・ブラウザAIエージェントが統合され、ユーザーの代わりにウェブを閲覧し作業を実行するブラウザ
Computer UseAIがスクリーンショットを見てマウス・キーボードを制御し、コンピュータを操作する技術
Human-on-the-loopエージェントが作業を実行し、人間が事後レビューする協業方式
プロンプトインジェクション悪意のある入力を通じてAIの行動を操作する攻撃技法
マルチエージェントシステム複数のAIエージェントが協力して複雑な作業を実行する構造
Agentic AI FoundationLinux Foundation傘下、Anthropic・OpenAI・Blockが共同設立したエージェントAI標準財団

更新履歴

日付変更内容
2026-01-06初版公開

このコンテンツは投資アドバイスではありません。AIサービスご利用の際は、各サービスの利用規約とプライバシーポリシーをご確認ください。

© 2026 PRISM by Liabooks. All rights reserved.

意見

記者

ファン・ミン

「現場で17年、今は技術を語ります」

関連記事