日本政府、AI開発に1兆円規模の支援を検討。記録的な国家予算のなか、未来技術へ大型投資

リード：未来への巨額投資と足元の課題

経済産業省が、国内のAI開発を促進するため、来年度から5年間で総額1兆円規模の支援策を検討していることが明らかになりました。これは、一般会計総額が120兆円を超え過去最大となる見通しの来年度予算案が編成される中での動きです。政府が未来の成長分野に大きく舵を切る一方で、国民の7割以上が物価高を懸念しており、日本の経済政策は大きな岐路に立たされています。

1兆円規模のAI支援策、その狙いは？

経済産業省の関係者によると、この支援策は、日本のAI分野における国際競争力を抜本的に強化することを目的としています。具体的には、AIの計算基盤となるスーパーコンピューターの整備や、AI開発を手がける国内企業への直接的な資金援助などが検討されています。世界のテクノロジー覇権争いが激化する中、日本が独自の生成AI技術を確立し、経済安全保障を確保するための戦略的な一手と見られます。

過去最大の予算と国民の生活実感

この大型支援策が検討される背景には、日本の財政状況があります。政府がまとめている来年度の予算案では、一般会計の総額が初めて120兆円を超える見通しです。社会保障費の増大などが主な要因ですが、こうした歳出拡大は財政へのさらなる圧力となります。

一方で、国民の生活実感は依然として厳しい状況です。内閣府が21日に公表した世論調査では、国内の状況が「悪い方向に向かっている」と考える分野として、73％の人が「物価」を挙げました。政府が未来への投資を加速させる一方で、足元のインフレ対策という喫緊の課題にどう対応するかが問われています。

また、日本の技術力を示すもう一つの事例として、22日にはH3ロケット8号機の打ち上げも行われました。政府はAIから宇宙開発まで、幅広い先端技術分野への投資を通じて、新たな成長軌道を描こうとしています。この壮大なビジョンが、国民生活の向上と両立できるか、その手腕が試されることになります。