ケネディセンター 100万ドル 損害賠償を巡る異例の事態：トランプ氏への名称変更が招いた芸術と政治の衝突

芸術の信念を守るための決断は、果たして100万ドルの価値があるのでしょうか？米国を代表する芸術拠点であるジョン・F・ケネディ・センターの名称にドナルド・トランプ氏の名が冠されたことに抗議し、出演をキャンセルしたアーティストに対し、施設側が巨額の賠償金を請求するという異例の事態に発展しています。

ケネディセンター 100万ドル 損害賠償の背景：20年来の功労者への通告

ことの端緒は、2006年から同センターでクリスマス・ジャズコンサートを主催してきたジャズ奏者、チャック・レッド氏が今月24日の公演を直前でキャンセルしたことでした。ロイター通信などの報道によると、センターの会長に就任したリチャード・グレネル氏はレッド氏に対し、このキャンセルが「不寛容な政治的スタンス」であり、施設に多大な損失を与えたとして100万ドルの損害賠償を求める書簡を送付しました。

名称変更を巡る法的論争と深まる分断

この問題の根底には、ケネディ元大統領を記念する公共施設にトランプ氏の名を加えるという強引なリブランディングへの反発があります。施設の新しい外壁には「ドナルド・J・トランプとジョン・F・ケネディ」という文字が刻まれました。ジョイス・ビーティー下院議員らは、法律によりケネディ氏以外の記念碑化は禁止されているとして、理事会を相手に訴訟を起こしています。

一方でセンター側は、トランプ氏が施設の経営危機を救った「救世主」であると主張しており、レッド氏のチケット販売が不調であったことも賠償請求の根拠に挙げています。芸術の場が政治的忠誠心を試される場へと変質しつつある現状に、全米の文化関係者から注視が集まっています。