Google系ウェイモ、京都で完全自動運転タクシーを2026年4月開始へ。初の米国外進出

アルファベット傘下の自動運転技術開発企業ウェイモは2025年12月21日、日本の京都市と提携し、完全無人運転のロボタクシーサービス「ウェイモ・キョウト・クルーズ」を2026年4月から段階的に開始すると発表しました。これは同社にとって、初のアメリカ国外での大規模な商業サービス展開となります。

発表によると、サービスはまず100台の全電動ジャガー「I-PACE」を使用して開始されます。対象エリアは、京都市の中心部である中京区や下京区、そして祇園や清水寺周辺といった主要な観光地です。利用者はスマートフォンアプリ「Waymo One」を通じて配車をリクエストでき、京都市は専用の乗降場所の設置やリアルタイムの交通データ提供で協力するとのことです。

ウェイモが初の海外展開先に京都を選んだ背景には、いくつかの戦略的な理由があります。日本の先進的なインフラや、新たなモビリティへの需要が見込まれる高齢化社会、そして膨大な数の観光客が魅力的な市場を形成しています。ウェイモのCEOは「世界で最も美しく歴史的な都市の一つで、都市モビリティの未来を共創できることは画期的な瞬間だ」とコメントしています。

特に注目すべきは、京都の複雑な道路環境です。狭い路地や多様な交通参加者が混在する環境は、自動運転技術にとって大きな挑戦となります。ウェイモは、この難易度の高い環境で第5世代の「ウェイモ・ドライバー」システムの堅牢性を証明することで、技術的な優位性を世界に示す狙いがあるようです。

しかし、課題も残されています。地元のタクシー業界組合からは雇用の喪失を懸念する声が上がっており、万が一の事故における責任の所在など、法規制に関する国土交通省との最終調整も続いています。また、トヨタが出資する競合のPony.aiも東京で実証実験を進めており、日本市場での競争が激化することが予想されます。

PRISM Insight: ウェイモが東京のような現代的な大都市ではなく、あえて歴史的で複雑な京都を選んだことは、自動運転技術の展開戦略における重要な転換点を示唆しています。これは、もはや複雑さを避けるのではなく、あえて困難な「エッジケース」が豊富な環境に挑むことで技術の成熟度を証明し、決定的な競争優位を築こうとする動きです。この「実戦による証明」というアプローチは、今後のグローバル展開における新たな業界標準となる可能性が高いでしょう。