スウェーデン沖でロシア貨物船が停泊、制裁対象で当局が臨検

スウェーデン沖でエンジン故障のため停泊したロシアの貨物船「アドラー号」に対し、スウェーデン当局が臨検を実施。同船と所有者はEUの制裁対象であり、武器輸送の疑いが持たれています。

リード

スウェーデン南西部沖でエンジン故障を起こしたロシアの貨物船「アドラー号」に対し、スウェーデン当局が21日未明、臨検を実施しました。税関当局によると、同船の所有者は欧州連合（EU）の制裁対象リストに含まれています。

事件の経緯

12月15日

貨物船「アドラー号」がロシアのサンクトペテルブルク港を出港。

12月19日（金曜日）

エンジン故障が発生し、スウェーデン南西部ホガナス沖の領海に停泊。

12月21日（日曜日）午前1時過ぎ

スウェーデン税関が沿岸警備隊と警察の支援を受け、アドラー号に乗り込み臨検を開始。

当局の発表

スウェーデン税関のマーティン・ホグランド報道官は21日、ロイター通信に対し、臨検が進行中であることを認めました。

「昨夜1時（世界標準時0時）過ぎ、スウェーデン沿岸警備隊と警察の支援を受け、税関検査のために船に乗り込みました。検査は現在も続いています」

ホグランド氏は、現時点で船内から何が発見されたかについてのコメントは控えました。また、アドラー号の最終的な目的地についても、税関は情報を把握していないと述べています。

背景：二重制裁下の船舶

船舶追跡サービス「Marine Traffic」によると、アドラー号は全長126メートルのRORO船（ロールオン・ロールオフ船）です。制裁対象企業・個人のデータベース「OpenSanctions」によれば、同船とその所有者である「M Leasing LLC」は、EUだけでなく米国からも制裁を受けています。武器輸送に関与した疑いがその理由です。過去には、2021年1月に国連のリビアへの武器禁輸措置を監視するEUの「イリニ作戦」の一環で、ギリシャ軍による臨検を受けた経緯もあります。