日銀、金融緩和の維持を決定。円は1年ぶり安値の152円台に急落

日本銀行が2025年最後の会合で金融緩和の維持を決定。植田総裁は賃金上昇の不足を理由に挙げた。この決定を受け円は1ドル152円台に急落し、日経平均株価は上昇した。

日本銀行は2025年最後の金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和策を維持することを決定しました。この発表を受け、外国為替市場では円が対ドルで急落し、1年ぶりの安値水準となるを記録。一方、東京株式市場では日経平均株価が大幅に上昇しました。

植田総裁「辛抱強く緩和を継続」

ロイター通信によると、はに開かれた会合で、短期政策金利をに、長期金利の指標となる10年物国債の利回り目標をに据え置くことを決めました。この決定は市場の大方の予想通りでした。

会合後の記者会見で、総裁は、物価上昇の兆しはあるものの、「十分な賃金上昇を伴っていない」と指摘。「安定・持続的なの物価目標達成のため、辛抱強く金融緩和を続ける必要がある」と述べ、早期の政策転換期待を牽制しました。

インフレ抑制のために積極的な利上げを続けてきた米連邦準備制度理事会（）や欧州中央銀行（）とは対照的に、が緩和姿勢を貫いたことで、日米の金利差拡大が改めて意識されました。これが円売り・ドル買いの主な要因となり、円相場は発表直後に下落しました。

一方、円安はやといった輸出企業の収益を押し上げるため、は好感して上昇して取引を終えました。しかし、エネルギーや食料品の輸入価格上昇が家計を圧迫する懸念も高まっています。財務省関係者は「高い緊張感を持って為替市場の動向を注視する」と述べ、市場介入の可能性を否定しませんでした。

PRISM Insight: 終わらない政策の divergence

日銀が賃金上昇の遅れを理由に緩和継続を強調したことで、欧米中央銀行との金融政策の「divergence（乖離）」は当面続くことが濃厚となりました。投資家にとって、これは円安基調が継続しやすい環境を意味しますが、政府・日銀による為替介入という不確定要素には常に注意が必要です。