トランプ氏が日本の「軽自動車」に異例の言及。米国市場を走る日は来るか？

ニューヨーク発 - 米大統領が、日本独自の規格である「軽自動車」の米国内での走行を容認する意向を示し、自動車業界に波紋が広がっています。しかし、専門家の間ではその真意を巡り疑問の声が上がっており、現行の厳格な規制と米国特有の消費者の嗜好が、実現に向けた高い壁として立ちはだかります。

立ちはだかる「規制」と「市場」の壁

日経アジアの報道によると、大統領は軽自動車のような小型車がアメリカの道路を走ることに前向きな姿勢を見せました。しかし、米国の自動車安全基準や環境基準は世界で最も厳しい水準にあり、日本の軽自動車はその多くを満たしていません。衝突安全性や排気ガス規制をクリアするためには、大幅な設計変更とコスト増が避けられないのが現状です。

さらに大きな課題は、消費者の受容性です。広大な国土を持つ米国では、伝統的に大型のSUVやピックアップトラックが好まれる傾向が根強くあります。今年1月にラスベガスで開催されたCES（コンシューマー・エレクトロニクス・ショー）での軽トラックが一部の農家などから注目を集めた例はあるものの、これがニッチ市場を超えてメインストリームに受け入れられるかは極めて不透明です。

政治的ジェスチャーか、本気の政策転換か

今回の発言は、具体的な政策的裏付けよりも、大統領特有の交渉術や、規制緩和をアピールする政治的なジェスチャーである可能性も指摘されています。日米間の貿易交渉カードとして、あるいは国内の支持者に対するメッセージとして利用されているとの見方です。自動車メーカー各社は、大統領の発言の真意を慎重に見極めながら、今後の動向を注視しています。