ウクライナ戦争、激化する戦闘と水面下の和平交渉:米主導の協議が進む一方、前線では犠牲者多数
ウクライナではロシア軍の攻撃で民間人の犠牲が続く一方、米国では和平に向けた外交交渉が進行中。戦闘の激化と和平への模索という、二つの相反する動きを詳報します。
ウクライナではロシア軍による攻撃で民間人の犠牲が相次ぐ一方、米国フロリダ州マイアミでは、米国が仲介する形でウクライナ、欧州、ロシアの代表団による和平交渉が続けられており、戦争の終結に向けた外交努力と前線の厳しい現実が交錯しています。
前線では攻撃が激化
ウクライナ当局の発表によると、現地時間12月22日月曜日、各地でロシア軍の攻撃による被害が報告されました。ハリコフ州知事のオレフ・シネグボフ氏によれば、イジューム村への攻撃で49歳の男性と42歳の女性が死亡。また、ドネツク州と南東部のザポリージャ州でもそれぞれ1人の死者が確認されています。
ザポリージャ州のイヴァン・フョードロフ知事は、過去1週間で同州がロシア軍から約5,000回の砲撃を受け、60人が負傷、数百棟の建物が損傷したと述べました。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、過去1週間でロシア軍が約1,300機のドローン、約1,200発の誘導航空爆弾、9発のミサイルをウクライナに向けて発射したと明らかにしています。
一方で、ロシア国防省は過去24時間でウクライナのドローン29機を撃墜したと発表。ロシア連邦保安庁(FSB)は、過去1週間で占領下のドンバス地域において「ドンバス・ドーム電子戦システム」を使用し、252機のドローンを撃墜したと主張しています。
和平に向けた複雑な外交交渉
戦闘が続く中、米国では和平に向けた動きが進められています。マイアミで3日間にわたり開催されている協議には、米国のスティーブ・ウィットコフ、ジャレッド・クシュナー両特使、ウクライナのルステム・ウメロフ高官率いる代表団、そして欧州当局者が出席しました。
マイアミ和平協議の主要関係者
- 米国側: スティーブ・ウィットコフ、ジャレッド・クシュナー(特使)
- ウクライナ側: ルステム・ウメロフ(高官)
- ロシア側: キリル・ドミトリエフ(特使)
ウィットコフ氏は21日夜、X(旧Twitter)への投稿で、ウクライナ・欧州側との協議が「生産的かつ建設的」であり、「ウクライナ、米国、欧州間の共通の戦略的アプローチ」に焦点を当てたと述べました。その約2時間後、同氏はロシアのキリル・ドミトリエフ特使とも「生産的かつ建設的な会合」を行ったとし、「ロシアはウクライナの平和達成に全面的にコミットしており、紛争解決と世界の安全保障再構築に向けた米国の努力と支援を高く評価している」と伝えました。
しかし、ロシア政府内には異なる見方もあります。プーチン大統領のユーリー・ウシャコフ外交担当補佐官は、欧州とウクライナが米国の和平案に加えた変更について「文書を改善するものでも、長期的な平和達成の可能性を高めるものでもない」と批判的な見解を示したと、ロシアの通信社は報じています。
各国の動きと国際的な広がり
外交の舞台は米国に限りません。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、フランスのマクロン大統領が戦争終結のためにロシアと対話すべきだと発言したことを受け、プーチン大統領が対話の用意があると述べました。フランス大統領府もこの声明を歓迎し、今後の進め方を検討するとしています。
また、この戦争は世界各国に影響を及ぼしています。インド外務省は「202人のインド国民がロシア軍に徴兵されたとみられる」と発表。そのうち26人が死亡、7人が行方不明になっているとロシア当局から報告があったとしています。一方、スウェーデン税関は、EUの制裁リストに掲載されている企業が所有するロシアの貨物船「アドラー号」が機関トラブルでスウェーデン領海に停泊したため、臨検を実施していることを明らかにしました。
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