H3ロケット打ち上げ失敗、日本の宇宙戦略は正念場へ 政府は1兆円支援で再起図る

日本の宇宙開発が大きな岐路に立たされています。2025年12月23日未明、次世代基幹ロケットとして期待される「H3ロケット」が、準天頂衛星「みちびき5号機」を搭載した打ち上げに失敗しました。この失敗は今後の衛星打ち上げ計画に影響を及ぼす見通しですが、奇しくも同日、政府は宇宙技術開発に1兆円規模の支援を盛り込んだ新たな「宇宙基本計画」の工程表を決定。失敗を乗り越え、宇宙大国としての地位を堅持する強い意志を示しました。

関係者によると、12月23日午前0時41分に打ち上げられたH3ロケットは、目標の軌道投入に成功せず、打ち上げは失敗と判断されました。搭載されていた「みちびき5号機」は、日本のGPS精度を向上させる準天頂衛星システムの重要な一翼を担う衛星でした。今回の失敗は、低コストと高い信頼性を両立させることを目指した日本の新たな宇宙輸送システムの根幹を揺るがす事態であり、今後の商業衛星打ち上げビジネスや安全保障関連の計画への影響が懸念されます。

この痛手の一方で、政府は同日午後、新たな「宇宙基本計画」の工程表を閣議決定しました。この計画の柱となるのが、宇宙分野の技術開発に対する大規模な財政支援です。具体的には、今後10年間で1兆円規模の基金を創設し、スタートアップから大企業まで幅広いプレイヤーの研究開発を後押しする方針です。このタイミングでの決定は、短期的な失敗に動じることなく、長期的な視点で宇宙開発を国家戦略の中核と位置づける政府の揺るぎない姿勢を内外に示したものと言えるでしょう。