米内務省、建設中の洋上風力発電5案件を全面中断 国防総省の機密報告書を理由に
米内務省が、第二次トランプ政権下で建設中の洋上風力発電プロジェクト5件を全面中断。国防総省の機密報告書を理由としていますが、背景には政権の長年の反対姿勢と法的攻防が見え隠れします。
米国内務省は月曜日、国内で建設中の洋上風力発電プロジェクト5件すべてのリースを一時停止すると発表しました。これらのプロジェクトには既に多額の投資が行われ、海中および陸上に主要な設備が設置済みであり、中にはほぼ完成しているものも含まれています。内務省はこの決定の根拠として、国防総省の機密報告書を挙げており、法的な精査を回避するための動きである可能性が指摘されています。
第二次トランプ政権は発足初日に、洋上風力発電に対する敵対的な姿勢を明確にしていました。大統領就任日に署名された行政命令は、再評価が終わるまで新規プロジェクトの許可発行を一時的に停止するよう求めていましたが、今月初めに裁判所がこの命令を無効と判断。政府が再評価に着手した形跡すらないと指摘しました。
許可プロセスをすべて完了し、すでに建設が始まっていたプロジェクトに対しても、政権はこれまで一貫性のない形で介入を試みてきました。例えば、ニューヨーク沖で建設中の800メガワット規模の「エンパイア・ウィンド」は、「許可プロセスが急がれすぎた」として内務省に一時中断させられました。しかし、ニューヨーク州と開発企業オーステッド社によるロビー活動と交渉の末に中断は解除され、内務省が判断を覆した理由は明らかにされていません。また、同社がニューイングランド南部沖で進める別のプロジェクト「レボリューション・ウィンド」が阻止された際には、オーステッド社が政府を提訴し、建設継続を認める判決を勝ち取っています。
今回の決定は、米国の再生可能エネルギー政策における予測不可能性を浮き彫りにしました。すでに巨額の投資が行われたプロジェクトを、内容が不透明な報告書を根拠に中断させる動きは、エネルギー分野への長期的な投資信頼性を損ない、同盟国のサプライチェーンにも影響を与える恐れがあります。
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