タイ・カンボジア国境紛争:死者40人超、和平協議の裏でドローン・ロケット砲撃が激化
2025年12月24日、タイとカンボジアの国境で戦闘が再燃。40人以上が死亡、100万人が避難する中、国防当局者間の協議が開始されたが、砲撃は続いている。ASEANの仲介努力が試される。
和平協議のテーブルには着いたが、銃声はまだ鳴り止まない。タイとカンボジアの国境紛争が再び激化し、2025年12月24日、両国の国防当局者による協議が始まったまさにその日に、新たな戦闘が報告された。12月7日の衝突再燃以降、公式発表によると死者は40人を超え、約100万人が家を追われている。
砲火の中で始まった「対話」
タイのメディアによると、タイ軍は24日、国境のシーサケート県とスリン県で新たな衝突が発生したと発表した。カンボジア側からのBM-21ロケット攻撃に対し、タイ軍は砲撃、戦車、そしてドローンで応戦したという。この戦闘でタイ兵士1人が負傷し、タイ側はカンボジア軍の拠点19カ所以上を攻撃したとしている。
一方、カンボジア国防省は、タイ軍が国境北西部のバタンバン州にある民間居住区を4発の爆弾で空爆したと主張。クメール・タイムズ紙が報じたところでは、教育省は空爆時に学校から逃げ惑う生徒たちのパニックの様子とされる動画を公開した。さらに、バンテイメンチェイ州でのタイ軍の砲撃により、民間人2人が負傷したと伝えている。
停戦合意には至らない軍事協議
今回の協議は、既存の二国間国境委員会(カンボジア・タイ一般国境委員会)の枠組みの中で行われた。しかし、アルジャジーラの報道によると、この会合はあくまで軍事当局者間のものであり、停戦合意のような政治的決定がなされる場ではないという。専門家は、会談の目的を「状況の安定化、偶発的衝突の解明、そして対話の窓口を維持すること」と分析しており、ASEAN諸国がオブザーバーとして参加しているものの、大きな進展は期待されていない。
紛争の根本原因は、植民地時代に引かれた817kmに及ぶ国境線の領有権問題と、国境に点在する古代寺院遺跡をめぐる対立にある。両国は互いに相手が先に攻撃を仕掛けたと非難し、自衛権の行使だと主張している。
文化財破壊とクラスター爆弾をめぐる非難合戦
さらに、カンボジア政府当局者のキム・チャンパンハ氏は、タイ軍が12月22日に、係争地にある2014年に建立されたヒンドゥー教のヴィシュヌ神像を破壊したと非難した。これに対しタイ軍はコメントしていないが、民間人を標的としたクラスター爆弾の使用疑惑については否定している。タイ軍は、使用した砲弾は軍事目標に対する多目的砲弾であり、両国ともクラスター弾に関する条約(CCM)に加盟していないため、条約は適用されないとの声明を発表した。
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