ネパールの逆行:オリ前首相が3期目続投、Z世代の変革要求を無視
ネパールで物議を醸すK.P.シャルマ・オリ前首相が、CPN-UML党首に3選されました。Z世代の抗議デモ弾圧で調査中の人物の再選は、ネパール政治の未来に何を意味するのでしょうか。
ネパールの若者たちが変革を叫ぶ中、なぜ物議を醸す強権的な指導者が再び権力の座に返り咲いたのでしょうか? ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(CPN-UML)は2025年12月18日、3期にわたり首相を務めたK.P.シャルマ・オリ氏を3期連続で党首に選出しました。対立候補に2倍以上の票差をつける圧勝でしたが、この結果は国の未来に暗い影を落としています。
Z世代の反乱との断絶
オリ氏の再選が特に問題視されるのは、今年9月上旬に発生し、77人が死亡した「Z世代抗議デモ」の弾圧を巡り、同氏が現在も調査対象であるという事実です。このデモの核心的な要求は、オリ氏のような旧態依然とした指導者を退陣させ、次世代にリーダーシップを移譲することでした。しかしCPN-UMLは、この民衆の声を完全に否定する選択をしました。オリ氏自身もこの運動を「外国勢力や騒動屋によるもの」と嘲笑し、多数の死者が出たことへの反省の態度を一切見せていません。
強まる権威主義と党内民主主義の衰退
オリ氏の指導者としての経歴は、権威主義的な手法で彩られています。首相在任中には、選挙で選ばれた議会を2度も解散させ、汚職が蔓延したと指摘されています。党内においても、2014年に党首に就任して以来、権力を自身に集中させ、異論を唱える者を組織的に排除してきました。今回の党大会でも、脅しや懐柔、さらには党規約の恣意的な変更といった手段を駆使して再選を確実にしたと報じられています。オリ氏の再選後、暫定政府が設置したデモ弾圧に関する調査委員会に対し、「委員会に出頭するくらいなら撃たれた方がましだ」と発言し、強硬な姿勢を崩していません。
岐路に立つネパール政治
平均年齢が26歳という若い国ネパールにおいて、若者から極めて不人気のオリ氏を選んだCPN-UMLの決断は、党の未来を危うくする可能性があります。その一方で、最大野党のネパール会議派は新党首を選出する見通しであり、首都カトマンズではカリスマ的な市長バレン・シャハ氏を中心に新たな政治勢力が台頭する兆しもあります。時代に逆行するCPN-UMLの選択は、ネパール民主主義の健全性にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。
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