民間カメラがスパイの目に:中東戦争が映すサイバー戦の新常識
イランとイスラエルが民間監視カメラをハッキングして軍事作戦に活用。日常のセキュリティカメラが戦争の道具となる時代の到来を解説
街角の防犯カメラが、いつの間にか敵国の「目」になっている。そんなSF映画のような現実が、中東で起きています。
民間カメラが軍事兵器になった瞬間
イスラエルのセキュリティ企業チェックポイントが水曜日に発表した調査によると、中東地域の民間監視カメラに対して数百件のハッキング攻撃が確認されました。これらの攻撃は、イランによるイスラエル、カタール、キプロスへの最近のミサイル・ドローン攻撃と時期が重なっており、攻撃者の一部はイラン情報機関との関連が疑われるハッカーグループとされています。
イランだけではありません。フィナンシャル・タイムズ紙の報道によれば、イスラエル軍はCIAと連携してテヘランの交通監視カメラ「ほぼすべて」にアクセスし、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師を標的とした空爆作戦に活用したとされています。
戦場となったデジタル空間
この手法は中東に限りません。ウクライナでは、ロシアが民間監視カメラをハッキングして攻撃目標の選定や部隊の動きを監視する一方、ウクライナのハッカーもロシア側のカメラを乗っ取って逆監視を行っています。
従来の戦争では衛星、ドローン、人的偵察が情報収集の主役でした。しかし、安価で脆弱なインターネット接続機器が普及した現代では、家庭や街頭に設置された無数の監視カメラが新たな「兵器」となっています。
日本への警鐘
日本国内には推定1000万台を超える監視カメラが設置されています。これらの多くは中国製を含む海外製品で、セキュリティ対策が不十分なものも少なくありません。
パナソニックやソニーなどの日本企業も監視カメラ市場に参入していますが、価格競争の中で海外製品のシェアが拡大しています。もし有事の際、これらのカメラが外国の軍事作戦に利用されたらどうでしょうか。
重要インフラ周辺、政府機関、自衛隊基地の近くに設置された民間カメラが、潜在的な脅威となる可能性は否定できません。
セキュリティの再定義
従来の「セキュリティ」は物理的な防御を意味していました。しかし、デジタル時代の安全保障は、私たちの日常生活に溶け込んだ無数のIoT機器の管理まで含む概念に変わりつつあります。
政府は2024年にサイバーセキュリティ戦略を改定し、IoT機器のセキュリティ強化を打ち出しましたが、既存の機器への対策は限定的です。企業や個人レベルでの意識改革も急務となっています。
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