中国政府がインフルエンサー規制に本腰、老舗チェーンの危機が転換点に
人民日報が飲食チェーン「西貝」とインフルエンサーの論争に異例の介入。中国のSNS規制強化の背景と、日本企業への影響を分析。
500億円の損失を被ると発表した中国の老舗飲食チェーン「西貝」。その原因は、たった一人のインフルエンサーによる冷凍食品批判だった。しかし今回、中国共産党機関紙・人民日報が異例の直接介入を行い、この論争は単なる企業トラブルを超えた政治的意味を持つことになった。
38年の歴史が一夜で危機に
事の発端は、有名インフルエンサーが西貝の冷凍食品使用を批判したSNS投稿だった。数百店舗を展開し、38年間営業を続けてきた老舗チェーンが、一つの投稿によって存続の危機に陥ったのである。
人民日報は日曜日から4本の論説を相次いで掲載し、「著名なインフルエンサーが扇情的な内容でネット世論を支配し、プラットフォームが注目を集めるために炎上を煽る」典型的なケースだと指摘した。特に注目すべきは、「SNSの投稿一つで38年間営業してきた企業が危機に陥ることの方がより憂慮すべき」との表現だ。
政府方針の「Uターン」
北京の政治学者(匿名)は、この一連の論説を「以前のメディアの消費者権利への寛容さや同情から大きく転換した」と分析している。これまで中国政府は消費者保護を重視してきたが、今回は明らかに企業側の立場に立った発言を行っている。
人民日報はさらに、企業に対してはPRスキルの向上を、インフルエンサーに対しては「トラフィック追求ではなく社会経済の安定に寄与する適切な行動」を求めた。この表現は、中国政府がインターネット上の影響力を持つ個人をより厳格に管理する方向に舵を切ったことを示している。
デジタル時代の新たな権力バランス
今回の事件は、デジタル時代における権力構造の変化を浮き彫りにしている。従来は政府と企業、そして消費者という三者関係だったが、そこに「インフルエンサー」という新たなプレーヤーが加わった。
西貝のケースは、一個人が巨大企業を危機に陥れる力を持つ時代になったことを示している。しかし同時に、中国政府がそのような影響力の行使に対して警戒感を強めていることも明らかになった。
日本企業にとって、この動きは重要な示唆を含んでいる。中国市場で事業を展開する際、SNS上での評判管理はもはや単なるマーケティング課題ではなく、事業存続に関わる重要な政治的リスクとなっているのだ。
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