忘れられた「731部隊」の犠牲者たち：戦後80年、生物兵器の影で続く戦い

一方はノーベル平和賞に輝き、もう一方はひっそりと息を引き取りました。2025年、戦後80年という節目を迎える中、広島の原爆被爆者団体「日本被団協」が世界的な注目を浴びる一方で、かつて旧日本軍による「生物兵器」の犠牲となった中国の人々は、今もなお謝罪も補償もないまま歴史の闇に取り残されています。

光の当たる被爆地、影に沈む細菌戦の村

サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、核兵器の脅威が世界的に広く認識されているのに対し、細菌戦による被害はその「見えない伝染」という性質ゆえに過小評価され続けてきました。浙江省の崇山村で亡くなった王金娣氏は、原爆ではなく731部隊がもたらした細菌戦によって人生を狂わされた数十万人の一人です。ジャーナリストの南香紅氏は、23年間にわたりこの「忘れられた戦争」を記録し続けてきましたが、生存者の多くは正義を手にすることなく世を去っています。

封印された真実：日米中の複雑な思惑

なぜ解決が進まないのでしょうか。そこには戦後処理における複雑な政治的背景があります。アメリカは戦後、研究データを手に入れる代わりに731部隊関係者に免責を与えました。日本政府も公的な関与を否定し続け、中国政府も外交上の優先順位の変化により、この問題への対応を揺れ動かしてきました。