アラブの春から15年、権力と世代の乖離：トランプ氏の核言及が落とす影

80代の指導者が20代の国民を率いる。世界で最も若い人口を抱えるアフリカ大陸では、リーダーの高齢化と若者のエネルギーとの間に埋めがたい溝が生じています。これは単なる世代交代の遅れではなく、未来の政策決定権を誰が握るかという深刻な地政学的課題を浮き彫りにしています。

アラブの春の遺産と現在進行形の悲劇

民主化を求めた「アラブの春」の発生から15年が経過しました。しかし、女性たちの権利や社会進出の現状は、当時描いた理想とは程遠い現実に直面しています。一方、シリアではセドナヤ刑務所に象徴される過酷な収容体制が、アサド政権下で自国民を疲弊させ続けている実態も報告されています。

中東の混乱は今も止まりません。ガザでは1カ月にわたる停戦が維持されていますが、現地の農業、特にパレスチナの誇りであるオリーブの収穫は占領下で大きな打撃を受けています。西側メディアの報道がパレスチナ人の声を十分に反映していないという批判も、国際世論を二分する要因となっています。

回帰する核の脅威と不確かな国際秩序

さらに、世界を揺るがしているのがドナルド・トランプ氏の発言です。彼は再び「核実験」の必要性について言及し始めており、冷戦終結後に築き上げられた核軍縮の枠組みが根本から崩れる懸念が強まっています。指導者の高齢化と過激な軍事戦略への回帰は、2025年末の現在、世界が抱える最大のジレンマと言えるでしょう。