BL小説を書く女子高生と、モデルになった教師たち
韓国ドラマ「ロマンスの絶対値」が初映像を公開。女子高生がBL小説を書き、そのモデルが実在の教師たちという設定が、グローバルなBLブームとK-ドラマの多様化を象徴している。
女子高生が書くBL小説の主人公は、毎日顔を合わせる担任の先生だった。
韓国の新作ドラマ「ロマンスの絶対値」(原題直訳)が初映像を公開し、国内外のK-ドラマファンの間で話題を集めています。物語の中心にいるのは、ロマンス小説を書くことが趣味の女子高生ヨ・ウィジュ(キム・ヒャンギ)。彼女が執筆するのは、ハンサムな教師たちが登場するBL(ボーイズラブ)小説です。そして物語が動き出すのは、その小説のモデルとなった実在の教師たちと、彼女が実際に出会う瞬間から。
「書く少女」と「書かれる大人たち」
本作には、チャ・ハクヨン(元VIXX)、キム・ジェヒョンをはじめとする複数の教師キャラクターが登場します。ヨ・ウィジュが書いた小説の中でBLの主人公として描かれた人物たちが、現実世界で彼女の前に現れるという設定は、フィクションと現実の境界を意図的にぼかす構造になっています。ティザー映像はすでに多くのリアクション動画やSNS投稿を生み出しており、特に日本のK-ドラマファンコミュニティでも注目を集めています。
この設定が面白いのは、BLというジャンルを「消費する側」ではなく「創作する側」の視点から描いている点です。ヨ・ウィジュは受動的なファンではなく、物語を作り出す主体として描かれています。これは、同人誌文化やBL創作に長い歴史を持つ日本の読者にとっても、親しみやすい視点かもしれません。
なぜ今、K-ドラマはBLを取り込むのか
韓国のドラマ産業において、BL要素を含む作品が増加しているのは近年の明確なトレンドです。かつてBLコンテンツは主にウェブ漫画やウェブ小説のプラットフォームに限定されていましたが、2020年代に入り、ストリーミングサービスの普及とグローバルな視聴者層の拡大を背景に、映像化・ドラマ化が加速しています。
この流れを後押ししているのは、データです。KakaoやNaverのウェブ小説プラットフォームでは、BLジャンルが安定した高い閲覧数を誇り、特に10代から30代の女性読者に支持されています。その読者層が映像コンテンツにも移行しつつあることを、制作会社や配信プラットフォームは敏感に察知しています。
また、日本市場との親和性も無視できません。日本はBLコンテンツの成熟した市場を持ち、漫画・小説・ドラマと多層的なエコシステムが形成されています。韓国発のBL作品が日本でも受け入れられる土壌は、すでに整っています。キム・ヒャンギはドラマ「ミスター・サンシャイン」や映画「怪しい彼女」などで知られる実力派俳優であり、彼女のファンベースが日本にも存在することも、本作への注目度を高めています。
「書くこと」が持つ力——創作者としての女子高生像
本作のもう一つの注目点は、主人公が「創作する女性」として描かれていることです。韓国ドラマにおける女子高生の主人公は、しばしば恋愛の受け手として描かれてきました。しかし本作のヨ・ウィジュは、物語を能動的に作り出す人物です。
これは偶然ではないでしょう。近年のK-コンテンツは、女性キャラクターの主体性をより丁寧に描く方向へとシフトしています。「書く少女」という設定は、ファンフィクション文化やBL創作コミュニティへのリスペクトとも読み取れます。
もちろん、懸念の声もあります。BLというジャンルを「女子高生の趣味」として描くことが、ジャンル自体の軽視につながらないか。あるいは、実在の教師をモデルにするという設定が倫理的な問題を孕んでいないか。こうした問いは、作品が公開されるにつれ、より具体的な議論を呼ぶかもしれません。
記者
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