南シナ海で再び波紋——中国の埋め立てにベトナムが抗議
中国が南シナ海・パラセル諸島のアンテロープ礁で埋め立て工事を加速。ベトナムが正式抗議を行い、地域の緊張が再び高まっている。日本の海上安全保障にも無関係ではない。
静かな礁が、また揺れ始めた。
南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)に位置するアンテロープ礁で、中国による埋め立て・浚渫(しゅんせつ)工事が急加速しているとの衛星画像が明らかになった。これを受け、ベトナム外務省は北京に対して正式な抗議を行った。「ベトナムはこうした活動に断固反対し、立場を表明する」——外務省報道官のファム・トゥ・ハン氏は3月22日、そう述べた。
何が起きているのか
ベトナム外務省によれば、ハノイは国際法に基づき、アンテロープ礁を含むパラセル諸島に対して「十分な歴史的証拠と法的根拠」を有するとしている。同報道官は、ベトナムの許可なく行われるいかなる外国の活動も「完全に違法かつ無効」だと強調した。
衛星画像の分析によると、中国はアンテロープ礁での工事を最近になって急激に拡大させており、人工島の造成を進めているとみられる。北京側はこの件についてコメントを求められているが、現時点で公式の回答はない。
タイミングも注目に値する。抗議が表面化したのは、中越両国の外相・安全保障担当相・国防相がハノイで会談し、海洋紛争を「適切に」処理することで合意した直後のことだ。外交的な握手の直後に、現場では工事が続いていたことになる。
なぜ今、この問題が重要なのか
パラセル諸島をめぐる中越の対立は、新しい話ではない。中国は1974年に当時の南ベトナムからこの諸島を武力で奪取し、以来実効支配を続けている。ベトナムは一貫して領有権を主張してきた。
しかし今回の展開が注目される理由は、工事の「速度」にある。専門家たちは、南シナ海における中国の埋め立て活動が近年また活発化していると指摘する。スプラトリー諸島(南沙諸島)での大規模な人工島建設が国際社会の批判を浴びた2010年代の動きと、構造的に似た動きがパラセル諸島でも繰り返されつつあるとの見方もある。
日本にとってこれは対岸の火事ではない。南シナ海は日本の主要な貿易ルートが通過する海域であり、エネルギー資源の輸送にも直結している。また、東シナ海での中国の動向と南シナ海の動きは、しばしば連動して解釈される。自衛隊や外務省が南シナ海情勢を注視し続けているのも、そのためだ。
複数の視点から読み解く
中国の立場から見れば、パラセル諸島はすでに自国の領土であり、そこでのインフラ整備は「内政問題」にすぎない。北京は長年、南シナ海における自国の主権主張を「歴史的権利」として正当化してきた。
一方、ベトナムにとっては、外交的な対話を進めながらも、現場での既成事実化を黙認することはできない。国内世論への説明責任も伴う。
ASEAN諸国の多くは、中国との経済的な結びつきを保ちながら、海洋権益をめぐる摩擦にも直面するという難しい立場に置かれている。明確な対中批判を避けつつ、静かに懸念を示すというパターンが続いている。
国際法の観点では、2016年の常設仲裁裁判所の裁定が中国の「九段線」主張を否定したが、中国はその裁定を認めていない。法的な枠組みが機能しない場合、現実の力学がどう動くかが問われ続けている。
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