『ベテラン3』撮影延期――ファンが今、問うべきこと
リュ・スンワン監督の健康問題により『ベテラン3』の撮影開始が延期。ファン待望の続編に何が起きているのか。K映画産業の現状と、シリーズが持つ意味を多角的に読み解く。
あなたが楽しみにしていた続編が、監督の「体調不良」という一言で止まった。その知らせをどう受け止めるか。
2026年3月11日、韓国映画『ベテラン3』の制作チームは、リュ・スンワン監督の健康上の問題を理由に、撮影開始を延期すると正式に発表しました。制作チームは「監督の体調を考慮した上で、出演俳優たちのスケジュールを改めて調整し、撮影日程を再設定する予定」と述べており、現時点では新たな撮影開始日は明らかにされていません。
『ベテラン』シリーズとは何者か
『ベテラン』シリーズは、韓国映画界において特別な位置を占めています。2015年に公開された第1作『ベテラン』は、韓国国内で1341万人を動員し、当時の歴代興行ランキング上位に食い込む大ヒットを記録しました。痛快なアクションと社会風刺を融合させたこの作品は、単なるエンターテインメントを超え、財閥の横暴や権力の腐敗というテーマで韓国社会に深く刺さりました。
続く2024年公開の『ベテラン2』もまた、ファン・ジョンミン演じる刑事ソ・ドチョルが活躍する痛快劇として、700万人超の観客を動員。シリーズとしての地位を盤石なものにしました。そして今回の『ベテラン3』には、ファン・ジョンミンに加え、イ・ジュノ(2PMメンバーとして知られるアイドル出身俳優)とチョン・ウヒという、世代と個性の異なる三者が揃うことで、国内外のファンから大きな期待を集めていました。
なぜ「今」この延期が重要なのか
撮影延期それ自体は、映画産業では珍しいことではありません。しかし、このタイミングには複数の文脈が重なっています。
まず、K映画の国際的な注目度は依然として高い水準にあります。ポン・ジュノ監督の『パラサイト』以降、韓国映画はグローバルな映画賞レースや配信プラットフォームにおいて確固たるブランドを確立しました。その流れの中で、大衆娯楽映画の頂点に立つ『ベテラン』シリーズの第3作は、業界全体が注目するプロジェクトです。
次に、イ・ジュノの存在は日本市場において特別な意味を持ちます。彼は2PMのメンバーとして長年にわたり日本でも熱狂的なファンベースを持ち、俳優としても『赤いスリーブ』などで高い評価を得ています。日本のファンにとって、この延期は単なるニュースではなく、個人的な待ち時間の延長を意味します。
そして、リュ・スンワン監督の健康という問題は、映画産業における「一人の天才への依存」という構造的な問いを浮かび上がらせます。シリーズの世界観と演出スタイルを作り上げた監督が不在では、代替が効かない。これはK映画に限らず、コンテンツ産業全体が抱えるリスクでもあります。
ファン、業界、そして俳優たちの視点
ファンの立場から見れば、まず監督の回復を願う気持ちが先にあるでしょう。しかし同時に、人気俳優たちのスケジュールは非常に流動的です。イ・ジュノはアイドルとしての活動も並行しており、チョン・ウヒも複数のプロジェクトを抱えています。延期が長引けば、キャスティング自体が再考される可能性もゼロではありません。
業界の視点では、この延期は興行スケジュール全体に波及します。韓国映画は夏休みや年末年始など、特定の興行シーズンを強く意識して公開日を設定します。撮影が大幅に遅れれば、狙っていた公開ウィンドウを逃すことになり、マーケティング戦略の根本的な見直しが必要になります。
文化的な視点として興味深いのは、日本と韓国でこのニュースの受け取られ方が微妙に異なる点です。日本では、プロジェクトの延期に際して「関係者全員の体調と調和を優先する」という判断は比較的受け入れられやすい文化的素地があります。一方で、待ち望んでいたコンテンツへの期待が大きいだけに、情報の透明性を求める声も上がるかもしれません。制作チームが「健康上の問題」という以上の詳細を明かしていない点は、今後のコミュニケーションが問われるところです。
記者
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