英国のイスラム恐怖症の定義をめぐる混迷:ヘイト犯罪急増と政府の遅れる対応
英国でイスラム教徒へのヘイト犯罪が19%急増する中、英国政府によるイスラム恐怖症の定義策定が難航。言論の自由とのバランスや歴史的背景を分析します。
イスラム教徒への攻撃がかつてないほど激化する中、英国政府の対応が問われています。スターマー政権は「イスラム恐怖症(イスラモフォビア)」の公式な定義を確立しようとしていますが、その歩みは止まったままです。
統計が示す危機:英国のイスラム恐怖症の定義が必要な理由
アルジャジーラの報道によると、英国におけるイスラム教徒を標的としたヘイト犯罪は深刻な増加傾向にあります。ロンドンを除くイングランドおよびウェールズの統計では、2024年3月までの1年間で13%増加し、さらに2025年3月までの1年間で19%もの急増を記録しました。
宗教的ヘイト犯罪のうち、44%がイスラム教徒を標的にしており、これはユダヤ教徒を標的とした24%を大きく上回っています。2024年夏にサウスポートで発生した暴動では、モスクが直接的な攻撃対象となりました。しかし、政府が任命した定義策定のための作業部会は、当初の期限であった2025年8月を過ぎても結論を出せていません。
言論の自由か、保護か:揺れる政府の指針
政府が慎重な姿勢を崩さない背景には、保守派議員らによる「定義の確立が言論の自由を阻害する」という主張があります。BBCの最新の報道によれば、政府は「イスラム恐怖症」という言葉を避け、「対イスラム教徒敵意(anti-Muslim hostility)」という表現への変更を検討しているとされています。
一方で、2016年に英国が採用した「反ユダヤ主義」の国際的な定義(IHRA定義)との一貫性のなさを指摘する声もあります。ユダヤ教への侮辱を許容する定義があり得ないのと同様に、イスラム教そのものへの憎悪を切り離した定義では、実質的な保護にはならないという批判です。
記者
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