英国の親パレスチナ活動家、ハンスト50日で病院搬送 生命の危機が懸念

英国で、親パレスチナ団体「パレスチナ・アクション」に関連する収監者2名が、長期にわたるハンガーストライキの末に病院へ緊急搬送されました。家族や友人によると、彼らの健康状態は極度に悪化しており、生命の危機が懸念される状況です。この事態は、英国における抗議活動の自由と、収監者の処遇をめぐる議論を激化させています。

アルジャジーラの報道によると、ロンドンのペントンビル刑務所に収監されていたカムラン・アーメド氏（28）は、ハンスト42日目の12月20日（土）に病院へ搬送されました。また、サリー州のブロンズフィールド刑務所にいたアム・ギブ氏（30）は、ハンスト50日目にあたる12月19日（金）に病院へ移送されたと、支援団体が明らかにしています。

両氏は、イスラエルの防衛企業エルビット・システムズ社の英国内子会社や英空軍基地への不法侵入に関与したとされる窃盗や暴力沙汰などの容疑で、公判前に勾留されています。彼らは容疑を否認しています。

アーメド氏の姉妹であるシャミナ・アラム氏は、弟の健康状態について深刻な懸念を表明しています。「ハンスト42日目となり、臓器に深刻な損傷が及ぶ危険性が高い状態です」と彼女は語りました。アーメド氏の体重は、収監時の74kgから60kgまで減少。12月19日の家族との電話では、ろれつが回らない状態だったといいます。

「正直なところ、彼がこの状況からどうやって抜け出せるのか分かりません」

一方、50日間のハンストを続けたギブ氏も、深刻な状態にあります。友人のニダ・ジャフリ氏によると、ギブ氏は医師の診察を受けるために車椅子を要求しましたが、刑務所職員に当初拒否されたとされています。また、ビタミンB1（チアミン）の継続的な提供も怠られており、認知機能への影響が出ていると弁護団は指摘しています。

この抗議は、1981年にボビー・サンズらが主導したアイルランド共和主義者のハンスト以来、英国の刑務所で行われた最大規模の協調的ハンガーストライキと言われています。しかし、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのバート・カマーツ教授は、「1980年代のアイルランドのハンストに対する手厚い報道とは対照的に、今回の抗議はメディアにほとんど黙殺されている」と指摘。英国政府や主要メディアの対応に批判の声が上がっています。