タイ・カンボジア国境紛争でアンコールワット観光に大打撃、訪問客17%減
タイとカンボジアの国境紛争が激化し、世界遺産アンコールワットの観光業が深刻な打撃を受けています。訪問客は17%減少し、現地の収入は最大80%落ち込んでいます。
世界遺産アンコールワットが、静まり返っています。観光のハイシーズンにもかかわらず遺跡が閑散としている背景には、タイとの国境で続く軍事衝突がありました。AFP通信の報道によると、紛争の激化により観光客のキャンセルが相次ぎ、現地の経済は深刻な打撃を受けています。
収入80%減、静寂に包まれた遺跡
カンボジア最大の観光名所であるアンコール遺跡群の拠点都市シェムリアップは、タイ国境から車でわずか2時間の距離にあります。この国境地帯では2025年に入り複数回の軍事衝突が発生し、多数の死者が出ています。その影響は観光業を直撃しました。現地ツアーガイドのブン・ラタナ氏は、12月だけで10件以上のツアーがキャンセルとなり、収入が前年同月比で約80%減少し、わずか150ドルに落ち込んだと語ります。「一部の観光客は怖がっていますが、シェムリアップは安全です」と彼は訴えています。
公式データもこの惨状を裏付けています。アンコール・エンタープライズによると、アンコール遺跡の入場券売上は、2025年6月から11月にかけて前年比で少なくとも17%減少しました。トゥクトゥクの運転手や土産物店の店主も、収入が半減したと嘆いています。
国境閉鎖と風評被害の二重苦
問題の根源は、植民地時代にまで遡る国境線をめぐる長年の領土問題です。2025年5月に紛争が再燃して以降、両国は陸路の国境検問所を閉鎖しました。これにより、バンコクからアンコールワットへ向かう観光客を乗せたバスは運行を停止し、タイ側の観光業者も大きな影響を受けています。
さらに、カンボジア国内のサイバー詐欺拠点の存在が広く報じられたことも、観光客の不安を煽る一因となっていると専門家は指摘します。東南アジアの観光コンサルタント会社Pear Andersonのディレクター、ハンナ・ピアソン氏は「悲しいことに、カンボジアの主要な観光地は安全であるという現場の現実がある一方で、メディアの見出しがすでにダメージを与えてしまった」と分析しています。
陸路以外の回復に望み
一方で、すべての観光客が訪問をためらっているわけではありません。AFPの取材に応じた欧米からの観光客の一部は「非常に安全だと感じる」と話し、紛争のニュースを知りながらも訪問を決めたと述べています。ホスピタリティ専門家のアルノー・ダルク氏は、混乱は陸路での地域内旅行に集中しており、空路で訪れる世界的な需要に影響はないと指摘。タイからの訪問者が減少する一方で、中国からの到着客は増加しているとのことです。シェムリアップ州観光局長は、戦闘が終結すれば観光客は戻ってくるとの自信を示しました。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
関連記事
2025年12月24日、タイとカンボジアの国境で戦闘が再燃。40人以上が死亡、100万人が避難する中、国防当局者間の協議が開始されたが、砲撃は続いている。ASEANの仲介努力が試される。
ASEAN外相会合を受け、タイとカンボジアが国境紛争に関する停戦協議を12月24日に開催することで合意。75万人以上が避難する中、地雷問題を巡る両国の主張は対立しており、和平への道は依然険しい状況です。
2025年の東南アジア経済を総括。ベトナムの躍進とタイの停滞が対照をなす中、米国のトランプ関税を背景に国家資本主義が台頭。各国は政府系ファンド設立やインフラ投資で経済ナショナリズムを強化している。
タイとカンボジアが国境での武力衝突を受け、今週の防衛協議開催に合意。ASEANが仲介する中、両国は互いに新たな攻撃を非難しており、停戦への道のりは依然不透明です。