パンダ外交の終焉?日中関係悪化で最後の2頭が中国へ
上野動物園の双子パンダが中国返還。1972年以来初めてパンダ不在となる日本。外交ツールとしてのパンダの役割とは?
10万8000人が最後の別れを求めた。上野動物園で日曜日、双子のパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」との別れを惜しむ人々の姿があった。火曜日の中国返還を前に、3時間半もの行列に並ぶ人もいた。
この涙の別れは、単なる動物園の出来事を超えた意味を持つ。1972年の日中国交正常化以来、初めて日本からパンダが姿を消すことになるからだ。
悪化する日中関係の象徴
高市早苗首相が中国による台湾攻撃に対して日本の軍事的関与を示唆したことで、両国関係は急速に冷え込んでいる。中国は台湾を自国領土と見なしており、武力統一も辞さない構えを見せている。
パンダの返還は、こうした緊張の高まりと無関係ではない。中国は1949年の建国以来、ジャイアントパンダを外交の善意の象徴として活用してきた。年間約1億円の賃借料を支払う「パンダ外交」は、関係改善の温度計でもあった。
実際、2011年にスコットランドのエディンバラ動物園への2頭の貸し出しは、サーモン、ランドローバー車両、エネルギー技術の対中輸出契約交渉と同時期に合意された。パンダは単なる動物ではなく、経済関係の潤滑油だったのだ。
市民の記憶に刻まれた存在
「息子が赤ちゃんの頃から連れてきているので、良い思い出になってほしい」と語る白川愛さんの言葉は、多くの日本人の思いを代弁している。
シャオシャオとレイレイは2021年、借り受け中の両親シンシンとリーリーから生まれた。彼らの成長を見守ってきた人々にとって、この別れは個人的な喪失感を伴う。
涙を流しながら別れを告げる来園者の姿は、パンダが日本社会に根ざしていたことを物語る。しかし、中国が所有権を保持する以上、政治的緊張は必然的にパンダの運命に影響する。
不透明な未来
今月初め、中国は日本向けのレアアース関連製品の輸出規制を強化した。経済制裁の応酬が始まる中、新たなパンダの貸し出し交渉は極めて困難な状況にある。
通常10年間の貸し出し契約は延長されることが多いが、今回は例外となりそうだ。日本の子どもたちは教科書でしかパンダを見ることができなくなるかもしれない。
記者
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