終戦への「20項目の計画」が浮上するもキーウに大規模攻撃。2025年末、ウクライナ情勢の現在地

和平への階段を上り始めた一方で、戦火の勢いは衰えていません。2025年12月27日、ウクライナの首都キーウはロシアによる「大規模な」攻撃に見舞われました。ロイター通信によると、巡航ミサイルと弾道ミサイルが投入され、防空システムが稼働したと報じられています。和平交渉が進展を見せる中で、現場では激しい攻防が続いています。

激化する前線とインフラへの打撃

ロシア国防省は、ザポリージャ州のコシウツェヴェ村を占領し、約23平方キロメートルの領土を確保したと発表しました。ウクライナ軍側も、潜入したロシア兵に欺かれ拠点を放棄するという「不運な不手際」があったことを認めています。また、オデーサやムィコラーイウの港湾では、スロバキアやリベリア船籍の船舶がドローン攻撃により損傷しました。さらに、ポーランド国境からわずか60kmの距離にある鉄道駅も攻撃対象となっており、戦域の拡大が懸念されます。

「核対応」ミサイル基地の影と和平への模索

緊張を高めているのは前線だけではありません。ベラルーシ国内に、核搭載可能な「極音速弾道ミサイル」の新たな基地が建設されていることが衛星画像から判明したと、米国の研究者が指摘しました。これに対し、ゼレンスキー大統領はベラルーシが主権をロシアに明け渡していると非難しています。

一方で、外交の場では具体的な終戦案が議論されています。ゼレンスキー氏は、米国との間で「15年間の安全保障協定」を含む20項目の和平フレームワークが90%完成していると述べました。領土問題については、ロシアが60日間の停戦に応じることを条件に、国民投票にかける用意があることも示唆しています。ロシアのプーチン大統領は、ドネツク・ルハンスクの両州（ドンバス地方）全域の確保を条件に、一部領土の交換に応じる姿勢を見せていると報じられています。