恐怖と癒し——『Shaving』が問いかけるトラウマの正体
ノ・ジョンウィ、笠松将、ITZYリュジンが出演するホラースリラー映画『Shaving』。2026年下半期公開予定の本作が、K-ホラーの新潮流とどう交差するかを読み解く。
恐怖は、外からやってくるとは限らない。
2026年下半期、韓国発のホラースリラー映画『Shaving』(仮題)が劇場公開に向けて動き出した。制作会社Star Platinum Co., Ltd.は5月8日、「本作は今年3月に撮影を完了し、現在ポストプロダクション段階にある」と発表。同時に初のスチール写真も公開され、キャストの表情に刻まれた緊張感が早くも注目を集めている。
誰が、何と向き合うのか
本作に名を連ねるのは、韓国ドラマ界で着実に存在感を高めるノ・ジョンウィ、日本人俳優として韓国映画への出演が注目される笠松将、そしてITZYのメンバーリュジンを含む多彩なキャスト陣だ。公開されたスチールからは、登場人物たちが「トラウマ」と向き合う物語であることが示唆されている。タイトル『Shaving』——「剃る」という行為が象徴するのは、皮膚の表面を削ぐような、内側に潜む何かを露わにするプロセスかもしれない。
笠松将の起用は、韓国映画における日本人俳優の存在感という点でも興味深い。近年、韓日共同制作や日本人キャストの起用は増加傾向にあり、アジア圏での興行を見据えた戦略的な布石とも読める。一方でリュジンにとっては、アイドルとしてのイメージを超えた俳優としての本格的な挑戦となる。K-POPアイドルが映画・ドラマで演技キャリアを築く流れは今や珍しくないが、ホラーというジャンル選択は、その覚悟の深さを物語っている。
K-ホラーの「今」と何が違うのか
韓国ホラー映画は、2019年の『パラサイト 半地下の家族』以降、国際市場での存在感を急速に高めてきた。しかし厳密にはあの作品はホラーではなく、「社会的恐怖」を纏ったスリラーだ。その後のK-ホラーは、オカルト・怪異系(『哭声』の系譜)と、人間の内面に潜む恐怖を描く心理系の二軸で展開してきた。『Shaving』が「トラウマ」を前景化するなら、後者の系譜に連なる可能性が高い。
注目すべきは、このトレンドが韓国社会の変化と無縁ではない点だ。競争社会のプレッシャー、世代間の断絶、ジェンダー規範の揺らぎ——こうした社会的文脈が、登場人物の「傷」として物語に投影されるとき、ホラーは単なる娯楽を超えた社会的テキストになる。
劇場公開という選択も見逃せない。NetflixやDisney+が韓国コンテンツのOTT配信を積極化する中、あえて映画館での公開にこだわる姿勢は、「スクリーン体験としての恐怖」への信頼を示している。同時に、OTTへの二次展開も視野に入れた興行戦略の一環でもあるだろう。
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