500機のドローンがキーウを強襲。トランプ氏との和平交渉直前の軍事的圧力

握手の準備が進む一方で、空からはミサイルが降り注いでいます。米ウ和平交渉を目前に控え、ロシアがウクライナの首都キーウに対して大規模な空中攻撃を仕掛けました。この事態を受け、隣国ポーランドは領空侵犯を警戒して戦闘機を緊急発進させるなど、緊張が極限まで高まっています。

戦場と外交の奇妙なコントラスト

ロイター通信によると、ロシアは一晩で約500機のドローンと40発のミサイルを投入しました。攻撃の標的となったのはエネルギー施設や民間インフラで、氷点下まで気温が下がる中、キーウ市内では数千世帯が停電と暖房停止に見舞われています。ウクライナ当局の発表では、少なくとも1名が死亡し、28名が負傷しました。

この攻撃は、ゼレンスキー大統領がフロリダでトランプ次期大統領と会談する直前という絶妙なタイミングで行われました。ゼレンスキー氏はテレグラムを通じ、「ロシア側は対話を装っているが、実際にはミサイルが彼らの言葉を代弁している」と強く非難しました。一方、ポーランド軍はウクライナ国境付近で戦闘機や地上防空システムを稼働させ、自国領空の安全確保に奔走しました。

新たな和平案「20項目」の行方

交渉のテーブルには、ウクライナ側が用意した最新の「20項目の和平草案」が置かれています。これは当初の案を修正したもので、ドンバス地方への「自由経済圏」設定など、一定の譲歩を含みつつも、米国やNATOによる安全保障を核としています。しかし、トランプ氏はポリティコのインタビューに対し、「私が承認するまでは何の中身もないに等しい」と述べ、自身の主導権を強調しています。